突入!いきなりラブホ飲み会 / 古着屋・久志の「出会い系」冒険⑤ (Page 3)
アポは順調で“いつも通り”!?
こんな日々を送っていた久志だったが、転機がなかったわけでもなかった。独自ルートからの仕入れを、しばらくは見送る事にしたものの久志はある意味、業務に貪欲な面も出てきたのである。
従来、久志のネット・モールではあくまでも直輸入品は“看板”みたいなモノで数としては、それほど多くはなく、いまも変わってはいない。
そこで目を付けたのが、米国ではなくフィリピン本国の女性たちである。前述したように、久志は渡航できないが、まとめ約(現地リーダー)を置けばいい。
彼女らは意外と思われるかも知れないが、手先が器用なのだ。それに、セカンド・ハンドについての理解も深いから、久志の意図を理解してくれて自分で服を作り上げたり、古着を集める能力に長けているのだ。
久志はフィリピンの島々へダイビングに行く途中に、トランジットするついでにマニラにはよく寄っていたので、コネがないわけではなかったのである。
それに、実際に自分で仕立てをやらなくても、作り手を取り仕切るリーダーがまとめてくれて、日本に発送してくれると実にありがたいのだ。
実際にフェイス〇ックを見ると、コロナ禍で失業して手作り服や古着を個人売買をしている女性が多い事に気づくだろう。特にマニラやケソン等の若い女性に多い。
なぜかというと、KTV(旅行者や外国人向けのカラオケパブ)が店を閉めており、仕事がない状態だからだ。
幸いなことに(ライフラインの)送金システムは生きているので、リーダーさえしっかりとしていれば、少量ながらも一定量を仕入れられるというシステムなのだ。
この模様を久志は自社のHPで紹介したりして、「商売を続けてますよ!」とアピールしているわけだ。今は国際電話ではなく、メールでのやり取りが主流なので、通信費がかからないのもいい点だ、と久志は思っているのだった。
そうやって薄利多売&自転車操業ながらも忙しく動いている事が、久志にはプラスに作用しているようだ。コロナ不況を嘆いたり悩む暇がない事に、久志は感謝していた。
「これで“出会い系”やるにも、張りが出るってもんだろ!」
そんな事を考えながら、独りニタついている久志だった。
こういう日常なので、久志は相変わらず出会い系サイト内の女性側メッセージをパトロールして廻る日課に変化はない。
ただ、変化しているのは女性側の方で、それまで主婦や人妻系・JDのメッセージの独壇場だった昼間部にさまざまな層の女性が利用するようになったのである。
コロナ禍は緊急事態宣言が解かれても、まったく終息の気配を見せないどころか一段と猛威をふるっているのが現実。リモートのみの業務から通常に戻った会社もあるが、月~金の通常出社ではなく週4だったり隔日だったりとOLや主婦OLたちが出会い系を昼間に使う様子がパトロールから伺えたのだ。
本来ならば、ここで「密」を避けるのが人道に沿った行動なのだが、なかなか体が覚えてしまった快楽を忘れる事ができないというのが前回の自粛期間で実証済みだったのである。
そこで久志は、感染患者や医療従事者に対して誠に不謹慎ではあるが、この機に出会い系を自粛するのではなく楽しんでみようと画策したのであった。
そこで取った作戦は、とにかく生活のリズムが変わったために時間と体を持て余していそうな女性をゲットするべく時間を絞ってメッセージを放つ作戦に出たのである。
その時間帯は、まずは「昼間」。日中は人妻や夫や子供を送り出した主婦の利用が相変わらず多いので、“一息つく9時頃”にメッセージを入れてみた。
「自営業なので昼間から時間が作れる“エロオヤジ(でも安パイw)”です。同じように、昼間に会える女性はいませんか?」
と、入れておいたのだ。これは、まぁ以前からも久志がよく使っていたパターンだ。
ただ、前述したように自宅待機やシフトで強制リモート勤務しているOL層が、ここに加わる事を見越してはいた。
それと合わせて、OL対策として18時頃の終業時間を狙って、
「飲み屋が22時には閉まってしまうので、ヒマしてます。早い時間の“飲み”か昼間に空く時があったら、ランチかティータイム、昼飲みでもして遊びましょう。カラオケは『密』が濃いらしいので、ナシという事で」
こんなのを、入れてみたのであった。
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