突入!いきなりラブホ飲み会 / 古着屋・久志の「出会い系」冒険⑤ (Page 5)
メールを続けていくと、どうやらカスミはコロナ禍前までは、社内不倫の相手を中心に「体が淋しくなると」出会い系でもつまみ喰いをしていたらしい。
それが、コロナ不況で不倫相手に経済的余裕がなくなって破綻。出会い系でも、なかなかオトコが踏み込んでこない(こちらも経済的理由と感染問題で)ので、イライラがつのっていたらしい事を自然とメールに書き込んできていたのだった。
久志はいつものノリで、
「そろそろ会ってもいい頃じゃない? カスミさんの希望に合わせるよ」
と書いて、ストレートに誘ってみた。
「どのくらいが“いい頃”なのか釈然としないけど、及川オジサンが会いたいのなら、会ってあげてもいいよ(爆)」
「そんな『上から!?』、でもヤらせてくれるんならその態度もガマンするよ(爆×2)」
「エロオヤジは無視! じゃぁ、そういう事で(草)」
こうしてアポは決まった。カスミから、最初に返信を貰って2週間は「頃合い」なのかは、未だに不明であった。
2軒目は「ラブホ」へ
久志は久しぶりの「夜の部」のアポに心(と股間を)踊らせていた。大概、昼間の人妻とのアポが多いからである。
カスミから、「どうせなら翌日が休みの平日に落ち着いて飲みたい」という、リクエストがあったからだ。
久志は気を遣い、
「夜だと22時にお店が自粛閉店しちゃうから、休みの日の昼間からでもいいよ」
と送信してみたが、「昼飲みだと長くいられないのよ。スグに眠くなるからさぁ。お酒は『夜に飲むモノ』って、体が記憶しているみたいよ」と書いてきたのだ。
久志にしても、夕方便の発送を終らせてからの方が業務上助かるのは確かだ。古参パートの麗子嬢に任せるのは全く問題ないのだが、いつもいつも遊びに行く度に仕事を丸投げするのも気が引けるからである。
麗子嬢としても、夫がいるものの浮気は久志としかシていない“特別なセフレ”だ。やはり、面白くはないかも知れない。この関係は、いまのところ崩したくないと思っていたのである。
そうした思惑アリな12月初旬。久志は都下M市の遊歩道でカスミを待っていた。ここならば、倉庫からも遠くはないので遅くなっても仕事場の仮眠室を使えるから便利だったのだ。
そんな思いを計算しつつ、師走だというのに心なしか地味な街角に立っていると、いきなり肩をポンッと叩かれて「こんばんは!」と声を掛けてきた女性が!
そこには、紺色のパンツスーツにベージュのトレンチコートを合わせたカスミがニヤニヤしながら久志の顔をジーっと見つめていたのだった。
「あっ、こんばんは。全然気づかなかったですよ。忍者の出?」
「そんなわけないでしょ。それに、いまの“忍者?”のくだり、面白くないでぇ~す」
こんな会話をしながら、ふたりは腕を組んで居酒屋を目指したのだ。お互いに画像の交換は済ませてあるので、アポした段階で「最低限の合格」を頂いていたうえでの腕組みなのだろう。
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