突入!いきなりラブホ飲み会 / 古着屋・久志の「出会い系」冒険⑤ (Page 6)
彼女は痩せ型で、よく言えばスリム体型。悪く言えば「ちっぱい」というくらい胸はないようだ。でも、幼児体型を脱した年齢の「ちっぱい」については、久志は嫌いではなかった。髪型はオカッパというかクレオパトラみたいで、マラソン選手みたいな趣を醸し出していたのだった。久志の好みである。
そのカスミを連れ立って入った居酒屋では、ディスタンスのために対面ではなくカウンターで隣り同士の席だ。この方が親密のような気がしてくるし、面と向かっていない分、下ネタも発しやすいのである。
そのせいか、ビールからカスミはハイボールへ、久志は焼酎のロックへ変えた頃には下ネタばかりではなく真面目な話しまでも展開させていたくらいだ。出会い系でのデートでなければ、この逆の順序で様々な身の周りの事から、下ネタへと入っていくのだろうが、この話しの順番が久志にはちょうど良かったのである。
お相手のカスミも、みずから、
「やっぱりオジサンは落ち着くな。今夜は『駆け引きナシ』で行くぜぃ!」
どうやら社内不倫の相手は、かなり年上だったようだ。だが、久志はそんな事は表面に出さずに、
「望むところよ!!」
と、応えたのだ。
こうして、ふたり揃ってほろ酔い加減になりつつあった時に、店員がすまなそうに、「すいません、今日も10時に閉店ですのでご協力ください」と言ってきたのである。
これもコロナウイルスの影響だから仕方がない。強制ではないが、都知事から「お願い」されたのではショーガナイのだった。それに、この店が閉めたから他の店を探しても同じ事だ。ただ、このノリを逃したくない。特に出会い系では、まず「次はない」のだから…。
「やっぱり、無理にでも昼飲みにしておけば良かったな。クローズの心配はないし。取り敢えず、ダメ元でラブホへ誘ってみるかな」
と、久志が考えていた時に、カスミは思わぬ男気を見せたのだ(笑)。
「なに、ウジウジ考えてるのよ。お店がやってなければホテルでもどこでも行けばいいでしょ? こっちだってヒマじゃないんだから、せっかく捕まえたオジサンを逃がしたりしませんよ」
「ナニそれ? ウケるんですけど。そんなにオレが好きなの??」
「バーカ、マニアックなだけよ」
言ってカスミは顔を赤らめた。「それならば」というわけで、まずは「飲み会」の延長でラブホへ入って、セックスは「成り行きで」という事で話しは決まったのである。
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