愛する人への寄る辺 (Page 7)

 二穴同時責めに京香は既に意味のある言葉を紡ぐ余裕はない。獣のように喜悦の声を上げ、武夫が与える快楽に溺れるばかりだ。
 暴力的な肉悦の奔流を味合わせていた武夫も、ついに限界がくる。
「義姉さん。出しますっ」

「熱ぃいいぃぃぃ」
 直腸にゼリーのような粘度の精液を射精され、京香は悲鳴を上げる。
 射精によって幾分かサイズを小さくした肉根を武夫が引き抜く。その感触に京香は耐えきれず、潮を吹いてしまう。潮吹きで力んだからなのか尻穴からは粘度の高い、どろどろした精子が流れ出てくる。

「義兄さんには頼めないこと、これで全部できましたか?」
 武夫は京香から体を離し、問いかけた。

 この美しい義姉が夫との性生活に満足できないのは、ペニスのサイズだけが問題なのではない。

 最大の問題は彼女のアブノーマルな性癖だ。
 意識を飛ばされるほどの強烈な快感を得たい。喉の奥まで強引に押し込まれたい。性器のように快感を得られるまで開発した尻を乱暴に犯されたい。そんな性癖を夫に打ち明けることができず、悶々と過ごしていたのだ。

 武夫は妻を愛している。
 京香は夫を愛している。
 この二点は間違いない。

 だが、二人とも性的に歪になってしまっていた。だからこそ、その歪さがぴったりと噛み合ってしまう。
 年に一度か、多くても二度。
 たったそれだけの機会が、皮肉にも二人が愛する人への寄る辺となってしまっていた。

 武夫は乱れた呼吸を整えようと空を仰ぐ。
 重たげな色の雲が、明るい日差しから二人を隠すように広がっていた。

(了)

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