あなたしか映らない (Page 4)
口調では渋々応じた格好だが、波奈の口元はほんの少しばかり笑みが隠しきれていない。そのことに気付かないふりをしながら泰輔は、赤黒く勃起した肉棒をズボンから開放する。
波奈は椅子から下り、床へ膝を突いて彼の足の間に入り込む。そして、躊躇いなくグロテスクな要素すらある血管の浮いた器官を口にした。
「うっ」
唾液でぬめった口内は暖かく、口蓋の硬さと舌の熱さとざらつき、対照的に滑らかな頬肉のコントラストが目まぐるしい快感をもたらす。そのせいで危うく発射しかけた泰輔は、唇の端を噛んで射精感を抑え込む。
ちょっとばかり咥えられてすぐに射精してしまっては、恥ずかしい思いをすることになってしまう。だが、そんなちっぽけなブライドなど波奈に咥えられていては、溶けかけたアイスクリームのようにすぐさま霧散してしまう。
「ぅむぅっ」
波奈が思わず、といった感じで呻く。大量の濃く若い精液が口内にぶちまけられたのだ。その喉に引っかかるような粘度の精子を苦労して波奈は呑み込み、笑ってみせる。
「もう出ちゃったね」
からかわれ、泰輔は興奮のせいだけでなく顔を赤くした。
「……次は、俺の番すね」
泰輔は強引に床に膝を突いていた波奈を押し倒し、力づくで履いていたものを脱がしてしまう。
蛍光灯の光の下で瑞々しい半身が露わになり、それは微かに興奮の汗で湿っていた。掌で撫ぜれば吸い付くような感触もあり、ずっと触っていたくなる。
だが、泰輔はそれよりも強い女を抱くという感情があり、本能に根ざしたそれに彼は素直に従うことにした。
女の園へ無遠慮に踏み入り、蜜を湛えた肉壺を指先でほじる。
「ああっ」
突然の凶行じみた行いに波奈が喉を反らして声を上げた。艶めいた声色のそれに泰輔は遠慮はいらないと諒解し、ねっとりした肉襞の中へと雄の猛りを埋める。
ぷじゅっと音を立てて愛液が膣外へと押し出され、卑猥な水音を立てた。それに気をよくして泰輔はさらに腰を突き入れる。優しく、そのくせみっちりと締め付ける淫肉の歓迎に、彼が砕けるような快感をさらに与えられた。
もっと奥へ。
そんな衝動が泰輔を衝き動かす。
ここがバイト先で、相手が同僚だということを忘れ、ただ一人の女として抱きたいという欲望に忠実な獣となってしまう。
先程彼が清掃を終えた一室のように、雄と雌の淫臭が室内に満ちていく。
「ああ、あぁんっ、すご、すごいょ、泰輔、くん」
「波奈さん、波奈さん」
「奥、奥まで届いてる、泰輔君のオチンチンがきてるよぉっ」
「うぐ、っ、波奈さんのここ、凄すぎっすよ!」
肉打ち合う淫猥なリズムは次第に高まり、二人は額に汗を浮かべ、お互いに快楽を高め合う。
いつ、どこなのか。
そんな些末事は、とうに二人の邪魔をするには足りない。
間には何もない。
男が女を求め。
女が男を求め。
互いを確かめ合うように抱き合う。
本能と愛情が入り混じった交わりが加速度を増して頂きに達しようとしていた。
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