母の日diary

・作

神木坂 優佳(かみきざか ゆか)には、1年に1度「母の日」と呼ばれる日がある。それは、義理の母と出会った日であり、義理の母を相手に初めて女を知った日でもある。今年もまた「母の日」がやってくるが、優佳の心には去年までと違う思いが芽生えていた…。

「優佳くーん!」

 バイト終わり、同じバイト仲間の菜乃果(なのか)ちゃんから声をかけられる。
 
 今、俺がキープしてる女の子の一人だ。
 
「今日、一緒に帰らない?」
 
 少しぽっちゃりとした背の低い彼女…低身長の巨乳は性欲が強いと言うが、彼女もその部類だ。
 
「あー、悪い…今日は先約があるんだ。」

「えー!残念…。」

 俺は、女性に誘われたら断らない事を心情にしているが、今日はちょっと事情が違う。

「他の女の子に会うの??」

「まぁね。女の子と言えば女の子かなー。」

 菜乃果ちゃんとは、適度な割り切った関係だから、下手にウソを付いて不信感を与えるより、素直に話してしまう方が得策だ。

 

 従業員用の出口を出て、店の表側に回ると、いかにもお嬢様といった黒髪の女性が、俺に声をかけてくる。
 
「神木坂くん…。」
 
 彼女は風香(ふうか)さん。1週間ほど前に知り合い、そのまま関係を持った相手だ。
 
 世間知らずのお嬢様は、初めて異性という者を教えた俺に甲斐甲斐しくも奉仕の心で側にいようとしてくれている。
 
「風香さん?どうしたの?」

「スマホにメッセージを送ったのに、返事が無かったので…。我慢できずに会いに来てしまいました。」

 ああ、バイト中は流石に返事ができなかったからな。

「優佳くん?今日会う人ってこの人?」

 ムギュっと菜乃果ちゃんのFカップが俺の腕に押し付けられる。
 
「ムッ…誰ですか?アナタは?」

 険悪なムード…。取り返しの付かなくなる前に俺は二人の間に割って入る。
 
「実は今日さ…母の日なんだよ。だから二人とは一緒にいられないんだ!悪い!」

「そっかー、母の日か…って!いや!もう過ぎてるよ!優佳くんってマザコン!?」

「まあね。幻滅した?」

 少し意地悪く返してみる。

「…神木坂くんが女の子に優しいのは知っていますから。お母さんの為というのは、納得できる理由ではありますね。」

「サンキュ。今日はさ、俺が初めて義母さんと会った日なんだよ。」

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