青い薔薇の蜜は恥悦の味 (Page 3)
そんなとき、ふと涼子が手元の紙ナプキンを床に落としてしまった。古賀は席から立ち、涼子の傍へ膝を突く形で拾い上げる。スカートの女性の足元へ突然しゃがみ込むような無礼は決してしない。
「あの……」
不意に熱を帯びた声が古賀の頭上から降ってきた。
古賀は内心で多少驚きながらも、何食わぬ顔で涼子を見上げる。
「なんでしょう?」
「……触れて、もらえますか?」
スイッチが入った。
古賀はそう感じた。
「宜しいのですか? ここはカフェですよ?」
「バレないように、少しだけ……、お願いします」
濡れたような声で涼子に懇願され、古賀は素早く視線を店内のスタッフと、防犯カメラに走らせる。それぞれ問題ない位置だ。
そっと手の甲で、涼子の脛を撫でる。ソファに座っている彼女のロングスカートから露出しているのはそこだけだ。ストッキング越しに体温が伝わってくる。少しばかり低いように感じた。
視線を涼子の顔に向けると、彼女は眉根を寄せて自らの体を抱き締めるような格好をしてる。苦痛や嫌悪を感じている顔ではない。明らかに性的な快感を感じ、それに耐えている。
頬には赤みが増し始め、鳶色の瞳が濡れていた。
「ソフトタッチがお好みですか?」
変わらぬ声音で古賀が訊ねる。
「はい。もっと触ってほしくなります」
耳まで紅潮させ、涼子はふわふわとした声で言う。
欲情した女の顔になっている。
古賀は確信した。そして、彼女の興奮とは裏腹に、彼は冷静になっていく。ここからは、より冷静にならなくてはならない。自分だけが満足する性行為は、二人の間では全くの無価値なのだ。
立ち上がり際、古賀はあえて少々強引な手付きで涼子の太腿の間へ手を差し入れる。それも一瞬のことだ。だが、彼の手には急上昇した涼子の体温がしっかりと残った。
「ひんっ」
びくんと肩を跳ねさせ彼女は、喘いだ。
涼子の呼吸が荒くなってきている。
「本日は、如何致しますか?」
改めて古賀は涼子に問いかける。彼女の答えは予想できたが、この場で問うことに意味があるだろうと判断したのだ。
「……もっと、してほしいです」
羞恥に震えながら涼子は、そう言った。
理性が情欲を抑えるためではなく、刺激するための存在に成り果て、より彼女を駆り立てる。自覚していないのだろうが、彼女の唇は淫蕩に弧を描いていた。
古賀はカフェ出ることを決める。ここでは涼子を満足させられないと、即決した。
どこでこのオプション頼めるのでしょうか?
フィクションかぁあーとがっくり項垂れてしまうほど、どこに行けば古賀さんに会えるの?と期待してしまうほどツボでした。作者様は、この世界のどこかにいて欲しい人々を産み出す魔人ですね!
魚月 さん 2021年2月24日