青い薔薇の蜜は恥悦の味 (Page 5)
「涼子様。もう少し我慢なさいませ」
かくかくと膝が笑っている涼子が達する寸前で意地悪く古賀は振動を止める。
その後も幾度か絶頂の間際まで涼子は登り詰めながら、古賀の手管によって阻まれてしまう。身体は達することを求めているのに、その寸前で留められ、微かな衣擦れや彼が耳元で囁く言葉にすら涼子は快楽を得ている。
しかし、それでも達することはできない。古賀によって涼子の身体は完全にコントロールされていた。
「このブランドのものは、涼子様によく似合うのではないかと思いまして」
そういって古賀はフロアの片隅にある国産ブランドのテナントへと涼子を連れてきた。確かにシックな品が多く、彼女が着飾るには良いものばかりだ。けれど、涼子は戸惑うしかない。何より自らの秘裂に埋め込まれた器具の存在が、彼女を落ち着かせてくれないのだ。
いつスイッチを入れられるのか。不安を感じた。もしも店舗スタッフが近づいてきた時にでも振動を強められてしまったら……。
そんなことを夢想するだけで、涼子は鼓動が高まるのを感じた。
「失礼」
涼子の内心など素知らぬ顔で古賀は近くにいたスタッフに声をかけた。
「見て回りたいのだけれど、良いかな?」
「ええ。構いませんよ。ご試着の際はお声掛けをお願いします」
女性のスタッフは愛想よく笑い、遠ざかっていく。
涼子の心配に反し、スイッチは入れられなかった。
拍子抜けした表情の涼子に古賀は微笑み、囁いた。
「期待しましたか? ご安心を。もっと良くして差し上げます」
古賀は傍にあったストールをざっと検分し、それを涼子の肩に掛ける。そして、ストールの下に隠れてしまった彼女の髪を外に出す動作で、古賀は首筋と背中を愛撫した。さらに前を合わせるふりをして、涼子の豊かな乳房をねっとりと押し上げる。
ぶるりと涼子は肩を震わせた。
息を詰め、快楽に耐えている。
「ストールだけでは物足りませんね。他にも試着してみましょう」
「んんぅっ」
背後にいるスタッフを確認すらせず、古賀は涼子の乳首を衣服越しに摘まんだ。
声はかろうじて堪えたが、涼子は腰を震わせ、ついに達した。震えは身体全体に広がり、我慢した分の余韻に浸る。
しっかりと古賀は腰を掴み、身を寄せ合うようにして陳列された衣服を見ていく。
幾つか見繕い、古賀はスタッフを呼び止めた。当時にポケットの中のリモコンのスイッチをオンにする。振動は最弱にして、涼子に肉体的な快感よりも精神的な羞恥心を感じさせる。
「どれもよくて、迷ってしまってね。試着をさせてもらっても構わないだろうか?」
「もちろんです。どうぞ、フィッティングルームはこちらです」
スタッフは愛想よく笑って二人を奥まった試着室へと案内する。しっかりとした扉がある類の試着室だ。
「試着が終わりましたら、お声かけください」
涼子にフェイスカバーを手渡し、スタッフは立ち去っていく。
どこでこのオプション頼めるのでしょうか?
フィクションかぁあーとがっくり項垂れてしまうほど、どこに行けば古賀さんに会えるの?と期待してしまうほどツボでした。作者様は、この世界のどこかにいて欲しい人々を産み出す魔人ですね!
魚月 さん 2021年2月24日