心変わり声変わり (Page 4)
「鈴さん、すごくいいです」
「だったら……挿入して」
「はい」
的場がコンドームをつけて肉棒を当てた。
「入って……きたぁぁ」
興奮を抑えきれないのか、ガツガツと打ち付けられる。
「ああっああイイ、奥まで来てるっ」
的場にしがみついて鈴は叫んだ。
「出し入れされるの好きっ突かれるのもっあああっ」
ほぼ同時に達し、抱き合ったまま荒い息をつく。
「すごく……良かった」
翌日、鈴はひどい風邪を引いた。咳が止まらず何度もえずいた。
そして風邪が治った時、声がかすれてしまっていた。
一時的なものだと分かっていながら、鈴は的場に連絡を取った。
鈴の声を聞いた的場は、明らかに失望した顔をした。それから、あわてて謝ったが鈴の心は平静だった。
的場が欲しいのは鈴の声だけ。分かっていた事だった。
「これで関係は終わりにしましょう。録音した声は消さなくていいから」
的場は素直に従った。
「ねえ、私の声、どう思う?」
「変わったな」
「それだけ?」
夫の答えに唇を尖らせると、何でもないように返された。
「だって鈴は鈴だろ。俺が愛して、結婚した女性だ」
一瞬ぽかんとしてから、頬が熱くなる。
「何、いきなり」
「いきなりじゃないだろ別に」
そう言いながらも夫の耳が赤くなっているのを見つけ、鈴は耳元でささやいた。
「じゃあ今夜、愛してくれる? それと、家事はもっと分担してよね」
「おう」
こういうのも悪くないと、鈴は微笑んだ。
(了)
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