見知らぬ自分と妻 (Page 4)

 当たり前のものとして自分が目にしたものを眞弓は飲み下していた。
 彼女の手によって次々と食器が洗浄され、食器乾燥機へ並べられる。淡々とした眞弓の動作を見ていたナニカは、彼女の夫と瓜二つの笑みを浮かべ、静かな足取りで背後へ近づく。
 ふわり、と柔らかな着物のような所作で、ナニカは眞弓を背後から抱いた。上背が眞弓よりあるので、首の辺りから彼女の胸の方へと手が垂れ下がっている。

「どうしたの?」
 眞弓は幼子をあやすような、それでいて自らも甘えるような声音で言う。少し首を反らし、ナニカの頬の辺りへ自らの額を寄せた。

「あっ」
 ナニカの手が眞弓の胸を服の上から無造作に揉む。下着の内側で柔らかに形を変える乳房を両手で弄び、ナニカは眞弓の耳へと唇を寄せる。耳朶を甘噛みし、鼻先を豊かな髪の合間へと埋めた。

「あっ、はぁっ、あぁん」
 伸びた舌先が耳孔へ入り、眞弓は体を震わせる。震えが悪寒なのか、快感なのか眉根を寄せた悩ましげな表情になる。仕返しのように眞弓は自ら尻を振り、ナニカの股間を己の尻肉で刺激した。
 乳房全体をこねていたナニカの手が、不意に動きを変える。力任せに硬さを増していた両の乳首を抓ったのだ。
「っ! はあぁぁっ」
 両手で眞弓はシンクをぎゅっと掴んだ。爪先立ち、突っ張らせた体を震わせる。息を詰まらせ、眉根を寄せたその表情は痛みではなく、明らかに快感に打ち震えるものだった。

 しばしの快楽痙攣を終え、眞弓はぐったりとしてナニカに体重を預ける。
 うっとりと目を閉じて快楽の余韻を腕の中で感じていた眞弓を、ナニカはゆっくりと自分の足元へ跪かせた。それから体の向きを変えさせ、ナニカはぱんぱんに膨らんだ前を鼻先に近づける。

 発情した雄が放つ淫臭が眞弓の鼻先から入り込み、意識を痺れさせた。
 求められている。そのことが彼女をどうしようもなく昂らせた。
「ああ、良晴(よしはる)さん」
 眞弓は夫の名前を呼び、恍惚とした色を瞳に浮かべる。そして、ナニカの前を開け、勃起し猛っているのであろう男根を露わにしようとした。だが、自分が濡れていることに気付き、眞弓は触れることを躊躇う。

 ナニカはうっそりと嗤い、自ら肉棒を彼女の目の前に露出する。
 赤黒く充血してそそり立つそれは、確かに眞弓にとって見覚えのある肉杭だ。太腿の内側にある黒子も、笠の大きな雁も、何もかも夫である良晴と相違ない。

 違いがあるとすればひとつ。
 飢えた肉食獣が涎を垂らすように先走りを先端から滴らせて、今にも襲いかからんとする雄の凶暴さがありありと現れている点だ。

 女の肉を掻きまわし、孕ませる。そのための器官であると、雄々しく主張する肉槍を、ナニカは眞弓の唇へと触れさせた。
 言葉はない。だが、口での奉仕をねだっている。
 眞弓はあえて先走りで濡れた先端を愛撫しない。焦らすため、舌を裏筋から降下させ、精子をたっぷりと生産している睾丸まで唾液で線を引く。
 粘液を滴らせる淫獣かのように、眞弓の舌先は男の歓ぶポイントを這う。竿をねっとりと舐め揚げ、唾液でコーティングする。次いで手で扱く代わりとばかりに、ぽってりした肉感的な唇でもってして竿を縦横に弄ぶ。

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