見知らぬ自分と妻 (Page 5)

 次第に彼女自身も口での奉仕に夢中になっていく。
 口淫で相手の性感を高めるほど、自身の下腹が疼くように拍動している。それを眞弓は感じていた。まるで自身を愛撫しているのかと、そんな錯覚を抱く程に眞弓は口淫奉仕に恍惚とする。

 一方で手を使わずに行われるフェラチオをもどかしく思ったらしく、ナニカがぐっと腰を突き出した。敏感な部分を避けて続けられた眞弓の責めに屈した形である。
 淫蕩に口元を綻ばせ、眞弓は男の敏感な先端を舌先でほじくる。それは先程、乳首を抓られて強制的に達したことへの仕返しじみた凶暴さを孕む舌技だ。
 透明な先走り汁と唾液が混ざり、床へ落ちていく。

 眞弓は淫蕩な笑みを清楚な顔に浮かべ、ふっくらした唇でナニカの亀頭を包み込む。唇の柔らかさは、女陰のそれとは違う。肉の厚みがより繊細に亀頭にまとわりつくのだ。

 唾液と先走りを潤滑油とし、ゆっくりと眞弓は口をすぼめたまま頭を前後に動かす。
 ぬち、ぬち、と湿った淫音がたおやかな女の唇から発せられ、ますますナニカの男根は硬度を増している。
 目を細めて男が快感に溺れる様を悦び、眞弓はさらに口の奥へと肉棒を招き入れた。
 頬を口の内側へと絞り、きつく締め付け。それでいて決して歯列で肉茎に触れることはない。風俗嬢顔負けの淫技を披露し、彼女はそっと下着の上から自らの秘裂をなぞる。下着はすっかり愛液で湿っており、男を受け入れる時を待ち侘びていた。

 だが、女としての矜持のようなものが、簡単には挿入を許さない。
 ますます肉棒を苛み、射精の寸前まで追い詰めた。その一歩、いや、半歩手前で眞弓は口の圧力を弱めてしまう。

 肩透かしを食わされたようにナニカのものは一旦の落ち着きを取り戻す。だが、ツボを心得た責めが再開され、射精欲は嫌が応にも再び高まってしまう。

 ちらり、と眞弓は上目遣いにナニカを見つめる。
 出したい? と悪戯っぽく問う目線だった。
 並みの男であれば射精を懇願していたであろう。
 だが、彼女が相手にしているのは、得体の知れない何者か。

 そのナニカは、顔色一つ変えない。むしろ優しげな笑みさえ浮かべてのけた。そして、ぐっと男根に力が入る。
「んむぅっ」
 眞弓は不意に口の中で角度を鋭くし、サイズを大きくした肉棒に驚きの声を上げた。

 彼女が驚いているうちにナニカは、足をすっと差し出す。その先には眞弓の下着に包まれた秘所がある。現在はフェラチオを行うために彼女ははしたなく足を広げて座っていた。それ故に自ら敏感な場所を足先へ差し出すかのように晒している。
 破廉恥な自らの格好に気づいた眞弓は赤面した。
 男のものを頬張っている時点で、今更恥ずかしがるような事態ではない。だが、彼女に中に残されていた妻としての羞恥心と、貞淑さがそうさせてしまう。

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