夫のために、これから他の男に抱かれます (Page 3)

 翌朝、満足した浜口は先に料亭を後にした。残された久子はぐったりして淫臭漂う部屋で泥のように眠り、昼過ぎにようやく起き出した。
 内股は乾いた精液がこびりつき、その上を秘所からあふれ出した白濁が層を作っていく。

いつの間に差し入れたのか、着てきた服が布団の側にたたまれていた。とにかく帰ろうと襦袢で拭って服を身に着ける。
タクシーを拾って座席に背中を預けた。自分から残り香がしていないか気になって窓を開ける。しばらくぼんやりしていたが、秘書からメッセージが来ているのに気付いてスマホを開いた。

「どういう事なのこれは!」
 久子は夫に詰め寄った。
「後援会の女と不倫していたって。しかも昨夜!」
「いや違……」
「私はあなたのために犠牲になったのに、あなたは楽しんでたってわけ?」
「お前が他の男としてるから、だから俺も」

 中から白濁液があふれて下着が濡れた。
 気色悪い感触と怒りで目の前が真っ暗になり、気づいたら久子は夫を力の限り平手打ちしていた。

「せっかく後押ししようとしていたのに、離婚してしまったのか」
 同じ料亭で、久子は浜口と対峙していた。
「はい。ですが、これからも浜口先生には後押しして頂けないでしょうか」
「これからも?」
「はい。私は選挙に立候補しようと考えています」
「ほう」

 浜口がさもおかしそうに口元を歪めた。
「覚悟はできているのか?」
「はい」
 久子はまっすぐ浜口を見つめ返した。
「覚悟の上です」

(了)

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