小さくても好きになって

・作

身長185センチ、体重68キロの田名部明はその体格に見合わぬ短小だった。暗い部屋でペニスサックをつける事で隠しているが、そのせいで女性とは長続きしない。ところがある日、マッチングアプリで知り合ったほしのという女性と中の相性がぴったりだった。運命の人に出会えたと明は喜ぶが、翌日ほしのは姿を消していた。

 近づかないとお互いの顔もはっきり見えないようなラブホテルの薄暗い部屋で、田名部明は女性の割れ目を舐めていた。これから太く長いモノを受け入れさせるのだからと、念入りに舐めてほぐしている。女性の股の間に顔を埋めているので、ほとんど何も見えない。
「ねえ……も、いいから……」
 女性が鼻にかかった甘い声でねだってきた。

「ああ」
 明は顔を離した。
 勃起しているモノに素早くコンドームをかぶせる。その上からペニスサックをかぶせた。
 暗闇でも正確に素早くつけられるよう、何度も一人で練習した。そのかいあって、手こずるようなへまはしない。
 ぶ厚い樹脂のペニスサックの表面はゴツゴツした突起が突き出ている。黒いのでつけていると一目で分かるが、モノを覆い隠してくれるので重宝していた。

 明は女性の腰をつかんで、正常位でモノを沈めていった。
「ああんっ」
 貫かれて、女性は腰を震わせて声を上げる。
「ああっゴツゴツ……当たってるう」
 ペニスサックはぶ厚く、サイズアップしてくれる代わりに直接的な刺激は弱くなる。快感を得るため、明は力を込めて腰を打ち付けた。
「あーっ……」
 女性が絶頂して体をくねらせる。明もイクためにそのまま突き続けた。
「あっイッてるっのにっあんっ」
 明もイッて、ペニスを抜く。

「はあ、これすごいわね」
 女性がペニスサックを撫でる。
「だろ?」
「ええ。でもつけるのもいいけど、そろそろあなたを直接感じたいっていうか。今度はコンドームだけでしない?」
「ああ……うん」
 明は女性から離れた。
「ごめん、今夜はもう疲れたみたいで。次にしようか」

「はああああ」
 翌日、明は社内でコピーしながら盛大なため息をついた。
 前年、創業四十周年を迎えたこの会社に勤めて十年、仕事には慣れたが未だ独身だった。

 あの女性とは別れなければならない。付き合って、何度か体を重ねるとどの女性もペニスサックなしでしてみたいと言い出す。

 身長185センチ、体重68キロの明はそのガタイの良い体格に見合わぬ短小だった。

 中学の修学旅行で風呂に入った時、明のモノを見た同級生たちは蔑むような、優越感に浸ったかのような視線を向けてきた。
「マジでポークビッツじゃん」
と笑う声が聞こえてきて恥ずかしくて死にたくなった。
 以来、温泉や銭湯には行かず、公共の場のトイレでは個室に入るようになった。

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