デート商法でひも契約
美咲という女から英語教材紹介の電話がかかってきた。デート商法だなと思いつつも、電話の声の印象は悪くない。デート商法をしている女なのだから、それなりに綺麗なはず、と勝手に想像して会うことにした。そして美咲の術中にハマって俺は契約した……
ある日、俺に英語教材の販売の紹介をしたいので喫茶店で会ってくれないかと、美咲と名乗る若そうな女から電話がかかってきた。
デート商法だなと思ったが、失業中で暇だし会えば飯代くらい出してくれるだろうと思い、会うことにした。
待ち合わせの喫茶店に行くと、男好きする女が座っていた。
確かに、この女から進められたら買うかもしれない。
「失礼ですけど、美咲さんですか?」
「ええ、小林さんですか?」
「はい」
「今日は、お忙しいところ来ていただきありがとうございます。」
俺は、席につくとランチを頼んだ。美咲は
「早速ですが、英語はこれから必要になるスキルです。特にあなたのように一部上場企業では必要とされます。」
等々、英語教材について語り始めた。
俺は興味を持ったように見せかけて、
「少し考えさせてください。」
と言って伝票を持って立ち上がった。
「伝票は、私が。経費で落ちますから」
美咲が言った。
「では、お言葉に甘えて。またご連絡します。」
と言って別れた。
*****
数日後、美咲から連絡があったので、今度は夕食をすることにした。
「ご検討いただけましたか?」
「そうですね、美咲さんも大変ですね。そう簡単に売れませんよね。英語教材は世の中に溢れているし、社内研修もありますから。」
「そうなんですよ。あまりこの仕事向いていないと思える時もあって、ストレスが溜まります」
「じゃー、今日は仕事を忘れて食事したらドライブでもしますか。」
「それも、いいですね」
と言って、ドライブに行くことにした。
彼女は一人暮らしで、つきあっている人もおらず、ストレスが溜まっているらしく、仕事の不満などをひとしきり話した。
夜景の見える丘に車を止めて、彼女の手を引き外に出た。
「綺麗な夜景でしょ。君には負けるけど」
「そう言って何人の女性を口説かれたんですか」
「初めてですよ。」
と言ってキスしようとしたが、
「やめてください」
「そうですよね。ドライブできただけで十分です」
そう言って別れた。
レビューを書く