引き際 (Page 6)
「う、ぅぉ」
呻きながら白濁液を亜希子の尻へと塗り込む。
重たく濃い精液がゆっくりと尻を伝い、床へ滴っていた亜希子の蜜の上へと落ちて交じり合う。
「尿道に残ってるのも、全部吸い出して」
朦朧した顔で亜希子は二人分り精液が混じった床へ尻を落とし、眼前にある男根にしゃぶりついた。注文通りに彼女は残った精子も残らず吸い出す。強制的に射精させられるような快感を味わいつつ、孝也はそれを亜希子に飲み込ませる。
「そろそろ休憩終わるんで、俺は行きますよ」
身繕いをして孝也は財布から二万取り出し、亜希子の汗ばんだ胸の間に捻じ込んだ。
男女の交わりの匂いが強く匂う休憩室を孝也は後にする。
シフトが終わって休憩室に戻ると、亜希子の姿はなかった。
意外なことに掃除されており精液の匂いは殆どしない。
孝也はロッカーに突っ込んでいた弁当の残りを食べ終え、ゴミを片付ける。
食事を終えた孝也はおもむろに亜希子が置いていったシフト希望を確認した。そして、亜希子とシフトが重ならないように孝也は改めてシフト希望を再提出する。
「……」
シフトを書き終えた孝也は少し考え込み、来月一杯での退職を希望することを追記した。
バイト以外に亜希子との接点はない。住所も知られていないだろうから、ある程度は安心だ。
三十六計逃げるに如かず。
引き際も弁えられないギャンブル狂いと付き合っていては、いずれ自分まで破滅してしまう。
着替えを終え、孝也は休憩室を出て行く。
その時、足元に銀色の玉が転がっていることに気付いた。
小さく軽い玉を拾い上げ、孝也は掌の上で転がす。鈍く照明の光を弾くパチンコ玉は、欲望を映すかのようにギラついていた。
鼻先で嗤い、孝也はゴミ箱にそれを放り込むのだった。
(了)
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