今はまだ夜明けまで遠く (Page 2)
酔いに任せ、浅見は腕を投げ出す。芯から冷めていくような心地になっていた。
「……でも」
投げ捨てるように言って内田は背凭れに頭を乗せ、暗い天井を見上げる。
「ちょっと疲れる時もあるかな」
気が付けば狭いソファの上で学生時代のように肩を寄せ合っていた。触れ合った手を浅見は殆ど無意識に絡める。内田の薬指にある指輪に触れて自分の行為を自覚し、離れようとした彼を引き留めたのは内田だった。
無言で指を絡め合う。
学生時代の浅見と内田は恋人関係にはなかった。だが、隠れるように触れ合い、いつしか肉体関係を持っていた。
その頃のように内田の指を浅見は撫でる。愛撫というよりも、彼女の感触そのものを確かめるような手付きで、壊れ物を扱うように慎重に。ゆるりと袖口へと指を忍び込ませ、内田の手首の内側をくすぐり、反応を見た。
薄めの唇がたおやかな弧を描く。彼女はじっと浅見を見つめていた。
「もっとしようか」
浅見の囁きに内田は微かに頷く。
何も変わらない。学生時代と同じだった。どちらからともなく誘い、隠れて触れ合う。
浅見の右手が太腿に伸びる。熱くなった吐息を零す内田に彼自身の情欲が刺激された。スカート越しに内田の足の間へ強引に手を入れる。
「うぅん」
小さな喘ぎ声を内田が上げた。彼女の視線は浅見の股間へ向かう。そっと伸ばされた手は彼の男根をズボンの上からなぞる。その刺激で彼のものは膨張し、下着に締め付けられて痛んだ。
浅見は手を動かし、じわじわと彼女のスカートをたくし上げる。
「だめ」
懇願さえ熱を帯びている。浅見はその熱を煽るように内田の耳元を舐る。びくりと硬直した彼女の隙を突く格好で、一気にスカートを捲る。露わになった太腿が薄暗い照明の下で艶めかしく彼を誘う。
「だめ、ほんとにだめ」
「何が?」
スカートを下げようとする内田の手に先んじて、彼は内腿に手を滑り込ませる。微かに汗ばんだ肌は若い頃と変わらず手に吸い付くような感触だった。
浅見は周囲から見られていないことを確認し、彼女の耳元に口を寄せる。
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