今はまだ夜明けまで遠く (Page 3)
「あんまりきつく足を閉じると手を引っ込められない。それだと二人が返ってきた時に困らないか?」
トイレの扉が開けば二人のことは丸見えだ。そのことに気づいた内田は足に込めていた力を緩める。スリルが彼女をより欲情させ、息が荒くなっていく。彼女と同じように浅見は自分も興奮していくのを感じる。
内田の股間へと彼は大胆に手を進めた。下着越しにも彼女の秘所が熱くなっていることが分かる。掌で全体を揉み解し、俯いて声を堪える内田を追い詰める。割れ目を指先で強くなぞると、じわじわと内田の体が強張っていく。息を荒げ、時に唇を噛み締めて彼女は快感の波に抗う。汗だけでない湿り気が下着だけでなく彼の指先を濡らす。
ふっと内田の瞳が宙に泳いだ。
その瞬間、浅見は下着越しにも分かるほど勃起した彼女の陰核を強く弾いた。
「……っ!」
内田の両足はぶるぶると震え、下着が一気に湿る。達したのだ。
「相変わらず緩いな」
「だって」
「旦那にも同じように潮を吹いてイカされてるのか?」
浅見は内田の股間から手を引き抜く。
「淫乱な雌の匂いがする」
そう言って浅見は絶頂させた指を彼女の口元へ差し出す。濡れそぼった指先へ赤い舌が纏わりつく。淫靡に舐り、溶けそうなほど熱い吐息で彼を誘う。
だが、浅見は誘いに乗らず、テーブルの上にあるお手拭きへと手を伸ばした。内田もトイレの物音に気づき、身なりを整える。
「すまん、寝てわ」
浅見の対面にトイレから戻ってきた友人が腰を下す。
「あいつは?」
「気持ちわりぃって言ってたからな。まだ吐いてるんだろ」
浅見の問いに友人はこともなげに答えた。
「まだ、そんな呑み方してるのか」
溜息交じりに浅見が言うと友人は笑った。その様子を見ながら、さり気なく浅見は手を内田の背後へと伸ばす。学生時代よりも肉感的になった彼女の尻を力任せに揉む。
「四人で久々に会ったからなぁ、あいつもはしゃいでんだろ」
「見てくるか?」
「女子トイレなんて見に行けねぇだろ」
「私、見てくるね」
言うなり内田は立ち上がり、さっさとトイレへ行ってしまう。
「浅見はもう一杯呑むか?」
「やめておく」
酒で誤魔化せるような熱ではなく、妻との情事で感じる類の情欲でもなかった。獣じみた凶暴な欲望の捌け口は一人だけだ。
トイレの方を見れば、タイミングよく内田が帰ってくる。後ろではもう一人の友人がふらふらしていた。二人はそれぞれ元々座っていた場所に座る。
浅見は隣に腰を下す内田の尻の下へさっと掌を差し込む。内田の尻肉だけでなく、秘所へも触れることができた。
「大丈夫か?」
「だめかも。マジできつい」
「学生みたいな呑み方するからだ」
「はしゃぎすぎた」
もぞもぞと手を蠢かし、浅見は内田を刺激する。彼女の瞳は淫らに濡れ光っていた。
「そろそろ出るか」
浅見が提案すると、友人たちはあっさり頷く。学生時代のように朝まで呑み明かすことはもうない。それぞれ家庭があるのだ。
友人たちを見送り、浅見は自宅とは違う方角の路線を使う。終着駅で降車した彼は駅のホームにあるベンチに座ってじっと待った。
レビューを書く