貝合わせを……する前に (Page 4)

「ちょっと、あんた、待って。いきなりそんな……」

「あたしが嫌なの?兄様じゃなくて姉様って呼ばないとダメなの?今ならまだ、兄様とも呼べるわ」

 痛い所を突かれてしまった。

 そう、今の時点では、カノンの肉体にはまだ男性器がある。

「兄様がしてくれないなら、あたし、襲うわ。今すぐ」

「え、ちょっとどうして。もうちょっと頭、整理させて」

「ダメ」

 カノンに――いや、現時点でのカノンの本名、“藤治”に――きっぱりと言い返すと、令子は藤治を押し倒し、服を脱がせ全裸にした。

「ああ、やっぱり……兄様」

 男性器を異様な目付きで見つめ、令子はしゃぶりついた。

「やり方をネットで調べてから、あたし、棒アイスとかソーセージとかでなめる練習してたの」

 令子は柔らかく袋をもみながら、まだ勃起していない男性器の亀頭をしゃぶった。下におりていきながらヒダにそってなめ、時々射精口を舌でつついて吸う。

 藤治はめまいがしそうだった。一応女性の恋人がいたこともあるし、男と分かって求めてきたお客とお互いの性器をなめ合ったこともある。

 だが、ここまで激しい情欲を持たれたことはない。射精口を吸う強度が、段々強くなってくる。令子もいつの間にか全裸になっていた。

「兄様、あたしの見て……」

 そう言うと令子は藤治を組み敷いたまま、シックスナインの体勢になる。情欲が極限までたかぶるあまり、ねだる令子の声はかすれていた。

 こうなってはしょうがない、と藤治は思った。令子の中で果てるまで逃れられないと悟ったし、それに――ああいうものを持ちたい、と願っていた理想に近い女性器が、目の前にある。しかも自分を欲しがって、蜜が糸を引いて滴ってきているのだ。

藤治も愛撫を始めた。まずは蜜をすすり、自分がされているようにヒダに舌を這わせる。

「こういうのが欲しかったの……令子の持ち物みたいなのが」

 そう言うと、令子は体中赤くなった。

「に、兄様、言わないで……」

「だから、ちゃんと令子の中をいっぱいかき回して、子宮をあたしの精液で満たしてあげる。安心して」

 クリトリスの皮を剥きながら“カノン”の口調で囁くと、藤治は自分の男性器がようやく勃起するのを感じた。皮が剥けたクリトリスを強く吸うと、令子はあえいだ。

「やっぱり、兄様は男のひ……ああ」

「動き方忘れたから、令子が上になって?

それにさっき、クリトリスの皮がやっと剥けたから、あたし手でいじるわ」

「ええ、ああっ……いいの?」

「いいのよ。さあ、早く」

「うれしい」

 その日初めて、ようやく令子は、安心した笑顔になった。

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