貝合わせを……する前に (Page 7)
そして。またも先に気絶からさめた藤治は令子の顔を眺めながら、改めて決心していた。
手術を受けよう。
そして、姉として同性の恋人として令子のそばにいよう、と。
令子が目を覚ますと、側には兄ではなく、姉としてのカノンが居た。
「令子、ごめんね。やっぱりあたし、手術受けるわ」
「そんな……嫌!」
「あのね、令子」
藤治――いやカノンは、ゆっくりとさとすように言った。
「あたしね、女として、女の子な令子も好きなの。令子は男じゃなきゃ嫌って言ってたから、嫌がられるのも仕方ないけど。
でもね、今度は女性が感じる場所を、令子に教えて欲しいの。あたしのたった一人の家族で、かわいい妹に。あなたじゃなきゃ、あたしもダメなの」
カノンは令子をきつく抱きしめ、キスをした。ただ触れ合わせるだけだったキスが、お互いの舌が激しく絡まり唾液を吸い合う、激しいものに変わるのに時間はかからなかった。
「じゃあ今度はあたしから、ね?手術が終わったら、貝合わせしましょ」
「……いいの?」
「当り前じゃない。あたしにとっても、もう家族は姉様しかいない。生みの親は二人とも生きているけど、家族じゃない。
だからあたし、教えてあげる。あたしだけの姉様じゃなきゃ、こんな気持ちにはならないわ。
兄様の体は貝合わせする前に、味わい尽くしたし」
「嘘つきね、令子」
「え?」
「さっきからあたしのモノ、ずっと触ってる」
硬直している令子に、カノンは囁いた。
「今度はバックから突いてあげるわ、令子。
貝合わせの前にたくさんしたいから、覚悟して……ね?」
(了)
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