心を満たし溺れるもの (Page 5)
「そのまま聞いてください」
足の間にある澄佳の頭を撫でながら加藤は言葉を続けた。
「今月分の月謝は先月分と同じように分割して頂きます。それと、あの投資話を持ち掛けた男とはこれから会わないように。それが月謝の支払いをお待ちする一つ目の条件です。いいですね?」
「はい」
従順に返事をする澄佳の顎を掴み、顔を上げさせる。彼女はスラックス越しに男性器に頬擦りをしただけで、すっかり発情した女の顔になっていた。表情は恍惚としており、触れている加藤の手には彼女の上昇した体温が伝わっている。
「二か月分の滞納した月謝を全て支払うまでは、命令には絶対服従すること。この二点を順守できるなら、支払いをお待ちしましょう。お子さんもこのまま通わせてください」
絶対服従。
その単語に反応して澄佳がぶるっと体を震わせた。
嫌悪ではない。微かに息を荒げ、目付きが蕩けてきている。
「返事は?」
「分かりました、先生」
「宜しい。では、ご褒美を」
澄佳の顎から手を離した加藤は、自分の性器をスラックスから取り出した。それを見た澄佳が、えっ、と声を漏らす。彼女の目の前に現れたのは、成人男性の平均を大きく上回るサイズの男根だった。しかも勃起すらしていない。
「手を使わず、奉仕をしなさい」
「は、はい」
犬か猫のように澄佳は加藤の男根に頬擦りを始めた。スラックス越しの時と違い、滑々した彼女の肌の感触は手淫と違う快感がある。さらにもっちりとした弾力ある頬肉が雁首に微かに引っかかって独特の性感を得られた。
しかし、それだけでは物足りない。
「先端にキスをして」
桜色の震える唇が赤黒い男の先端に触れた。微かな接触とリップ音。それだけのキスだった。
「夫にするような情熱的なキスにしてください」
夫を引き合いに出され、澄佳は一瞬だけ目を伏せたが、すぐに男根へのキスを再開した。小鳥が啄むような断続的な吸い付き、そして舌先と唾液の感触が少しずつ加藤の雄を昂らせていく。
加藤の性器の表面に太い血管が徐々に浮かび上がっていった。さらに、じわじわと力こぶのように固く全体が盛り上がって先端が持ち上がる。
「お互いにもっと舌を絡めたりはしないんですか? こんなふうに」
加藤は澄佳の顎を再び掴み、強引に口を開かせる。歯に当たらないように注意しながら、彼女の口の中へと肉茎を捻じ込む。
「んんぅぅ」
「口の中にあるものが夫の舌だと思って自分も舌を動かして。……そうそう。なかなか上手です」
上手というのはお世辞だが、加藤は意識を集中して男根をゆっくりと膨張させる。
傘の広がった先端に澄佳の舌が拙く絡みつき、雁首や鈴口を刺激してきた。児戯に等しいが、それでも彼は射精感を高める。
自分の性感をコントロールできるのも、加藤自身が性産業の世界に身を置いていたからだ。
そこで経験した様々な女性達の性技に比べれば、澄佳からの刺激など無視できる程度のものでしかない。
だが、あえて加藤は射精することを選択した。
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