盗まれた青い薔薇の行方
澤木(さわき)と鈴鹿(すずか)は依頼によって救出した女性をしばらく預かることになってしまう。しかし、その女性はなにやら様子が……。
扉を開けた。
途端に粘るような甘い臭いが鼻の奥まで飛び込んでくる。
無精髭の生えた顔を歪め、澤木(さわき)は後ろ手に飛びを締めた。自動的に施錠され、外界と遮断される。室内は天井が高く、澤木を除いて二人の男と一人の女がいるが、圧迫感はない。足元は水を流させるように溝が切ってあり、壁は防音材が取り付けられていた。
背中を向けていた男二人がさっと振り返る。どちらも澤木よりも上背がある。痩せ型の男と筋肉質な男。それぞれの顔に怪訝そうな表情が浮かぶ。だが、警戒はない。施錠されているこの部屋に入れたのだから関係者なのだ、と。
「ご苦労さん」
低い声で言い、澤木は男達へ近づいていく。
「調子は?」
男二人の間に入る位置に歩み寄り、澤木は女に視線を向けた。
女は大きく足を広げ、秘所を曝け出した格好で分娩台のような器具に固定されている。目隠しと口枷をされ、ヘッドホンを装着されていた。秘裂と菊門には淫具を挿入され、それらは鈍い音を立て女の肉を抉っている。それだけでなく、乳房を覆うように薄いパッドを張り付けられ、乳首を卑猥な繊毛が絶えず刺激していた。
「大分出来上がってるみたいだな」
「あとは――」
痩せ型の男が口を開きかけたところで、澤木は思い切り相手の足の甲を踏み付けた。鉄板を仕込んだ特別製のブーツは、易々と男の足の骨を砕く。足の骨を砕かれ、痩せ型の男が体勢を崩す。
足を踏み付けた動作を踏み込みに、澤木は崩れ落ちてくる男の喉を拳で打ち抜いた。ぐるりと男の目が裏返り、意識を飛ばす。倒れ掛かってくるのを躱し、澤木は筋肉質な男へと向き直る。
筋肉質な男は金属バットを手にしたところだった。金属バットは手に入り易く携行もし易い。力任せに振るだけでもかなりの脅威になり得る。
澤木は臆せず金属バットの殺傷圏内へと入り込む。最短距離を一直線に進み、グリップを握る男の手を打つ。指の骨を折ることはできないが、それでも痛めることはできる。さらに動きの止まった男の手をグリップを握った状態のままで固定し、バットを弧を描くように素早く動かす。
「あがっ」
手首の可動域を超えて捻られ、筋肉質な男の身体が泳ぐ。そうしなければ手首が折れるからだ。澤木は大きく開いた男の股間を容赦なく蹴り上げる。睾丸の潰れる感触がブーツ越しに伝わり、澤木は思わず顔をしかめた。
彼が手を離すと筋肉質な男は床に倒れ、びくびくと痙攣する。
自分が打ちのめした男達を一瞥し、起き上がってくる気配がないことを澤木は確かめた。それから彼は拘束されている女へと歩を進める。
顔をしかめたまま、慎重な手付きで女の秘部に埋め込まれた淫具を引き抜く。
「んむぅっ」
喉の奥で女が苦しげな声を上げた。ぴくぴくと内股が痙攣し、どろりと淫具に絡みついた蜜が椅子へと垂れる。ぽっかりと口を開けた肉穴が蠢き、室内に充満する甘い臭いを圧して雌の匂いを澤木の鼻先まで漂う。
続いて菊門を塞いだ責具に澤木は手を伸ばした。
そろそろと引き抜かれる責具は幾つもの玉の連なりで、それが一つ出る度にぷじゅっと音を立て、尻穴へと注ぎこまれていたらしいローションが溢れた。
「んぐっ、おぉぉっ」
背を反らし、白い喉を晒して達した女が呻く。
それを見て、澤木は小さく溜息を吐いた。変わらぬしかめ面で、女の四肢を拘束している器具を解放していく。コードの繫がったヘッドホンだけを外し、目隠しと口枷はそのままにした。着ていた上着を脱ぎ、女の身体を包む。それから背負い、澤木は自分と女の身体をハーネスで固定した。さらに女の手を体の前で掴んで引き寄せる。
数歩歩いて固定を確かめ、彼は装着していたインカムを起動した。
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