底辺の恋 (Page 5)
男が帰り、愛彩はまかれた札の中でぐったりしていた。
「お清めセックスは……」
「……今日はやめとく。疲れた……」
「そうか」
凰喜がホッと息を吐く。股間が濡れているさまがみじめだった。
落ちる所まで落ちた。そんな気がした。
「布団、買い替えなきゃね」
淫液が染み込んでぐっしょり濡れた布団はもう使い物にならない。
「なんて言うかさ……どうにもならなくなったら心中しようか」
「そんな度胸もないくせに」
「ははっそうだな……」
つい、あざけるように言ったのに凰喜は苦笑いするだけだった。
どれだけ他の男にイカされようと愛彩には凰喜だけ、だからもし他の女に心変わりされたら生きていけない、自分が他の男に心変わりしても生きていてはいけない、だからそうなったら、
「……心中しようね」
愛彩のつぶやきは濡れた布団に吸い込まれて凰喜には届かなかった。
(了)
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