夜の底から (Page 7)
じわりと膣口から収まりきらなかった精子が溢れ、浴槽を微かに濁らせた。
「ユウちゃん、ありがとう」
それから二人は気分と体が落ち着いてから体を洗い、ベッドで抱き合って眠り朝を迎えた。
穏やかな眠りではあったが、目覚めた時にはチェックアウトの数分前で、慌ただしく手続きをこなす羽目になってしまう。
ホテルを出ると、太陽が真新しい光を投げかけていた。
その朝日はあまりにも潔癖で、重く長い夜の底にいた二人には眩しい。
祐悟は佐奈美の空っぽの手を握る。
佐奈美は、優しくそれを握り返す。
夜の底から二人は、そうして見知らぬ朝の中へと踏み出すのだった。
(了)
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