暴かれた性癖

・作

彼女である春乃(はるの)に振られて苛立ちながら街を歩いていると、春乃の妹の夏帆(かほ)がいた。春乃とは違い地味なタイプだったが顔は良く似ていた。体はどうだろうな、と考えている内に夏帆に雑誌を貸していたことを思い出した。声をかけ雑誌を家まで取りに行きたいと言い、むりやり家に入りこみ―――…。

彼女に振られた。
理由は他に好きな人が出来たから、だ。
いずれは結婚を考えていると言った途端、こうだったから、もしかしたら彼女はそんなつもりなかったのかもしれない。

だからといって、次に付き合うのが俺の同期ってのはどうなんだ。
イライラした気持ちで街をぶらついていたら目の前にいたのは、彼女の妹の夏帆ちゃんだった。
へぇ、と思わずガン見してしまう。
姉の春乃とは違い地味なタイプだったが、顔はよく似ていた。
体まではどうだかわからないと舐め回すように見ていれば、夏帆ちゃんが気付いた。
その途端、見開いた目に半開きの口で、恐らく春乃から聞いているのだろうとわかった。

「こんにちは」

あえて詰めてみれば、夏帆ちゃんは困ったような顔をしたが、流石に無視するようなことはなかった。

「お久しぶりです」

「今日は買い物?」

手に持つ荷物を差せば、頷く。

「そう言えば、夏帆ちゃんに雑誌貸したままになってたよね」

そう、春乃と付き合っていた頃、俺が持っていた雑誌を貸していた。
付き合っているから返すのはいつでもいいと言っていたが、まさか別れるとは思ってなかったし、雑誌のことで春乃に連絡するのも嫌だと思っていた。

「あ……そうでしたね、長い間借りたままになってしまって……」

「ううん、いいよ。確か、家この近くだよね? 今から取りに行ってもいい?」

「え?」

「いや、だって、春乃と別れたの知ってるでしょ? あんまり連絡取りたくないんだよね」

「あ……そう、ですよね」

「じゃ、行こうか」

そう言って俺は夏帆ちゃんの家に一緒に行った。

「それじゃ、取ってきますね」

玄関前で言われて「はい」と言い、扉が開いた途端家に入りこんだ。

「ちょ、」

「こんなに簡単に家に案内しちゃダメでしょ」

はは、と軽く笑い飛ばしそのまま部屋に入り込む。
もちろん、鍵は締めた。
ガチャンと響く音とともに、ひ、と息を呑む夏帆ちゃんの口を手で抑えて壁に押し付ければ目だけで十分恐怖を感じていることがわかった。

「手荒い真似はしたくないから、黙って」

壁に体を押し付けて、口を塞いだ状態で何を言っているのかと思うだろうが、微笑んで見せる。
俺の顔を見て、ますます夏帆ちゃんの顔色が悪くなる。

口を抑えた状態で首筋に顔を近付ければ拒絶するように体が動かしてきたが、その足の間に俺の足を割り入れれば硬直した。

「暴れても大声出しても別にいいからね」

ははは、と笑えば夏帆ちゃんの大きな目から涙がボロボロと零れて行く。

「お姉さんに振られた時点でもうどうでもいいと思ってね」

私は関係ない、そんな視線を送られるが無視した。
そんな事、俺が一番わかっている。

「警察沙汰になってもいい覚悟は出来てるよ」

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