クーデレ処女と更新料

・作

時はわりと最近。家出少女が原因のトラブルや犯罪の多発に業を煮やした政府は、ある驚くべき法案を議会に可決成立させ、それを実行に移したのだった。その驚きの内容とは…… クーデレ系美処女が誘惑してくるお話です。お気軽にどうぞ。

 ん、ちょっと頭が重いかな……

 まあいい。正直に言おう、俺は処女が苦手だ。
 もちろん抱くなんてとんでもない話だ。

「もう脱いだ方がいい?」

 いや、異論があるのは分かってる。
 初物ゲットは男子の夢だろうってのも、よく分かる主張だ。

「いや、そのままでいいよ」

 しかしそれは概ね、経験した事が無い者の妄想だ。
 もしくは、よっぽどの当たりの娘を掴んだ超ラッキーな奴の意見か。

「じゃあこれで」

 と言って、某有名学園の制服のスカートをずらして見せる女子。
 髪は割と無造作っぽいセットの、ミディアムショートのマッシュボブ。
 身長は155センチくらいか。
 細すぎず太すぎずのスタイル。
 肌は瑞々しく抜けるように白い。

 ここまで条件がそろっていての挑発でも、無表情では効果が薄い。
 オマケに抑揚の乏しい喋り方ではなおさらだ。
 その程度のことも分からないこの娘は、間違いなく処女。

「そういうことは誰から教わるのかな?」

 ベッドの端に並んで座ってる彼女に向かって聞いてみる。
 スカートの裾がギリギリの位置で止められたのだ。
 処女なのにこのテクニック!

「…………?」

 ここは、会社が長期契約しているビジネスホテルの一室。
 そのベッドの上、俺のツッコミに無反応なこの娘。
 ビジネスライクな部屋の調度に負けない無表情。

 どうやらメタな質問は通じないようだ。
 それで、もっと話に即した内容に切り替える。

「キミ、家出してきたなんてウソだろ」

 事の発端は、業務中の不意の呼び出し。
 呼んできたのは、普段は顔も見ない総務部の部長。
 言付かった同期の男=秋雲に連れられて行った先は、何故か会議室だった。

「ウソじゃない」

 鳩が豆鉄砲な顔で、彼女。
 総務部の部長から話を聞いた時の俺も、きっとこんな顔だったに違いない。

 数年前。
 家出少女が、出会い系のサイトで悪い男につかまる事件が多発したそうな。
 最悪のケースでは命を落とす場合もあったとか。
 その対策で、時の政府は或る法案を議会に出して可決成立させたらしい。

「じゃあホントに、その、いわゆる大人になるためだけで家を出てきたと?」

 その法律とは。
 一言で言うと、政府が用意した男性に家出娘の相手をさせるというものだ。

「そうです、香住田 藻也(かすみだ もや)35歳独身さん」

 役所から依頼を受けた企業が、自社の人畜無害な独身男性社員を紹介する。
 そのデータを元に、年中ネットを見ていられるフリーターに仕事を出す。
 フリーターは、その男性社員に成りすまして家出少女をゲットする。
 実際に会う際には、その男性社員を待ち合わせの場所に向かわせる段取り。

 だから自分は名乗ってなくとも、少女は自分の事を知っているのだ。

「ううむ。そう言えばキミの名前はたしか……」

 つまりココにいるのは政府公認のクーデレ処女(なにそのパワーワード)。
 しかも、この娘を大人にしてあげなきゃならんワケだ。

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