出会い頭にすれ違い、交差しているのにぶつかる

・作

とあるリフォーム会社の男女2人。年の差は親子ほども離れているが、女の方は50代の男に片思いをし続けている。どんなに自分の気持ちをアピールしても、なびいてくれない男にもやもやを募らせていく。ある日の現場でのハプニングの最中、女は男に対する思いが我慢できなくなり…。

 最近、仕事中に視線を感じる。
 
「じーーーーーっ。」

 視線の主は、おそらく伊藤さん。この支社に支店長として配属された方だ。
 
 支店長という職位ではあるが、年令はかなり若く、ここに来たときも他の社員に、親のコネだ、役員の愛人だ、などとかなり悪い噂が広まっていたが………恐らくそのとおりなのだろう。
 
 彼女が配属されて数カ月、何かしらの行事の度に手作りのクッキーやチョコレートなどを、『差入れ』と称して渡してくる。
 
 私にだけ他の社員とは違う、豪華な包装をされているそれらは『ワイロ』と呼んでも差し支えないだろう。
 
 仕事終わりの食事や飲みの話も合ったが、妻が家で暖かい食事を用意してくれている事を考えればホイホイと付いていくようなことはしない。
 
 ハニートラップで弱みを握られて、現場からの要求を突っぱねられるような事にならないように、私は常に気を張らなければ。
 
 元々、個人事業主の大工として働いていた私は、数年前にこのリフォーム会社にヘッドハンティングをされた。
 
 単なる請負業者だった私に、営業と現場の温度差を埋める為の管理職として働いてくれないか?と言うものだった。
 
 その頃は新築の仕事が減っているのと、子供の将来の事を考える時期が重なっていて、私は2つ返事でOKを出した。
 
 自らの会社を畳み、50代目前の私がサラリーマンになる事には多少の覚悟は必要だったが、妻や娘の事を考えるとこれが最良の選択だと実感している。
 
 私が現場の管理職で、伊藤さんが店舗の支店長。

 部署は違うが、似たような地位にある状況で、彼女が私に都合良く近づこうとしているのは明白だった。
 
 だが、娘とさほど変わらない年齢差の相手の誘惑にかかるほど…私は甘くは無い。
 
 恐らく、私のそんな態度に業を煮やして、普段の生活態度に突っ込み所を見つけるためにあんな風に目を光らせているのだろう。
 
 一度隙を見せたら営業側からの要求が過剰なものになってしまうかもしれないからな。
 
 だが…職場の上司や同僚としての彼女の真面目な姿勢は嫌いではない。
 
 それでもお互いが決して気の置けない関係なのは、親子ほどかけ離れた年齢のせいか、もっと根本的な問題なのかもしれない。
 
 まあ、こんなことを気にしてもしょうがない…。
 
 私は改めてネクタイを締め直し、仕事に臨むことにした。
 

*****

「じーーーーーっ。」

 桧野上(ひのかみ)さん、私より1周り以上年上だけど…タイプ過ぎる。
 
 仕事中の立ち姿とか話し方とか、理想のお父さん!って感じ!
 
 ああ…ああいうタイプの人に抱きしめられたいなー。
 
 伊藤ユミカの最近の日課…桧野上さん観察。
 
 桧野上さんは少し鈍感な所があるみたいだから、私が観察していても全然気づかない(笑)
 
 新しい仕事場も、私より年上の人が多いから正直、仕事でやりにくい事が出てくるかなって思ってたけど…。
 
 桧野上さんが職場に居るだけで癒やされる!他の人に何言われても頑張れる!
 
 あー、桧野上さんが既婚者じゃなければなぁ…。
 
 私の中の最大の難関…彼は妻子持ちなのだ。
 
 手作りお菓子のプレゼントだったり、仕事終わりのちょっと強引な誘いも全部断られてしまった。
 
 その時は、自分に魅力がここまで無いかと落ち込んだけど…。
 
 (私だって浮気する彼氏より浮気しない彼氏の方が絶対に良い!けど…今は浮気して欲しい…。)
 
 そうやって日々を悶々と過ごし続けている。
 
「ん…あ…んん…。」

 自宅のベッドの上で服を捲り、下半身は裸のまま一人エッチに励む。
 
 少し指先で触れただけで硬くなり天に向かって顔を突き出すピンクの乳首を見ていると、自分は淫乱なんだと嫌でも自覚させられる。
 
「ううん!!くっ…!ああっ!!」

 左手の指で勃起した乳首を摘みながら、右手は中指と薬指の二本で、オマンコの中を刺激する。
 
 ジュポジュポジュポと右手を動かす度に卑猥な音が部屋中にこだまし、自然と腰が持ち上がる。
 
「あ…!やぁん!…桧野上さん…!んんっ!激しっっっ!イッくううぅぅぅう!!!!」

 Gスポットの責苦に耐えられず、腰を激しく上下させながら絶頂を迎える。
 
 自らの愛液で濡れた指を見ながら届かぬ想いが私を拗らせているのを実感させる。
 
「ああ!もう!私のアイデンティティが崩れてく!!」

 自分がここまで性欲に溢れている女だとは思わなかった。

 もし、この妄想が叶うとしたら…私は桧野上さんとあんな事や…こんな事をして…。

「くー…。くー…。」

 妄想の終わりを考えることもなく、私は眠りに落ちてしまった…寝落ちオナニーって、めっちゃ気持ちいいよね!

*****

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