出会い頭にすれ違い、交差しているのにぶつかる (Page 3)

(ああ・・・おしりのもこもこが気持ち良さそうだ。夢の様なさわり心地なんだろうなー。)

サワサワ

 ビクン!とダックンが飛び跳ねる。
 
「あ!びっくりさせてしまったか!申し訳ない…。」

 つい、無意識に触ってしまった。
 
「その…娘が昔からふわふわしたモノが好きでね。その影響かな?君のようなもこもこを見るとつい触りたくなってしまうんだよ。」

 私がそう説明すると、ダックンはイスに座ったままお尻をフリフリとこちらに向ける。

「触ってもいいのかい?」

 大きくうなずくダックン。
 
「そ…それじゃぁ…。」

 ダックンのチャームポイントである腰からお尻にかけての緩やかな曲線部分を優しく撫でる。
 
 サワサワサワ。ナデナデナデ。モミモミモミ。
 
 ああ…気持ちいい…。キグルミ特有のつるつるとした触り心地、私が撫でた方向に流れる毛並み、そこには確かな温もりを感じる。
 
「いつまでも、触っていたいなぁ。…ん?どうしたんだい?」

 今度はダックンが私の方向に向き直り、両手を開いて胸元へと誘ってくる。
 
「ええ?そこも触れって言うのかい?」

 ダックンは大工見習いのオスのアヒルさんだ。
 
 力強いキャラクターの設定の為、胸元の毛がボリューミーに強調されている。

 私は、そっと右手をその胸元に置く。

(うおおおおおお!!!)

 声にならない歓喜の声が頭の中に響く。
 
 違う…お尻のときとは違う高級な羽毛の様な感触が私の右手を包み込む。

 左右に動かす度に胸元が、フルフルと動き細かな刺激が掌に伝わってくる。
 
「気持ちいい…。」

 もっとこの感覚を味わいたいと、両手で胸元の羽毛をワシャワシャとかき混ぜる。
 
 子供たちが抱き付いたときに顔に当たる部分のその羽毛は、格別の柔らかさと肌触りを奇跡のバランスで料率させている。
 
 ごくんと…私は唾を飲み込み、子供でしか味わえないその胸の空間に顔を埋める。
 
 フワフワーン。モコモコーン。

 顔で受ける羽毛の心地よさは他の何物にも代えがたく、まるで自分が夢の世界に来たような感覚に陥る。

「ああ…気持ちいいよ、素敵だよ…ダックン!」

 両手をダックンの背中に回し、ぎゅーっと、抱きしめながら、両方の頬を擦り付ける。
 
 モサモサの羽毛の感覚をしっかりと頬に叩き込む、こんな経験二度と無いかもしれないからな!
 
 その後、休憩時間いっぱいまで、私はダックンの全身の毛を堪能し、後ろ髪を引かれる思いでその場を後にした。
 
「ありがとう…とても癒やされたよ。午後もがんばってくれよ。」

*****

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