出会い頭にすれ違い、交差しているのにぶつかる (Page 5)

「ふぅ…なんとか乗り切ったな。」

 イベントの時間も残り1時間ほど。お客さんの流れも切れ、少しずつ後片付けの方向に進んでいく。
 
 入り口の方で案内の手伝いをしていたダックンも、今はブースに戻ってきており、説明を受けている両親の待ち時間の子供に絡まれながら、一生懸命片付けをしてくれている。
 
(あー…またあの毛に触りたいな?。)

 子供に絡まれている微笑ましい姿のダックンを見ながら仕事を続ける。
 
 ペロン。
 
「ん…?見間違いかな?」

 子供の掴んでいるダックンのお尻の辺りが変な捲れ方をしたような?
 
 私はダックンの異変に気付き、咄嗟に駆け寄る。
 
 見間違いではなかった。お尻から股にかけての部分の糸がほつれて、中身が見えそうになっている!
 
 ダックンはその事に気付いていないが、子供の目線…下から覗くような形だといつバレるかわからない。
 
 ダックンの後ろに立ち、ほつれた部分に体を使って目隠しする。
 
 ダックンが動く事で先程よりもほつれが酷くなる。裂けた部分から、チラチラと赤い下着と白い生脚が見える。
 
(え…まさかダックンの中身は女性だったのか!?)

 昼休憩の自分の行動が当然の如く脳裏に浮かび上がる…。恥ずかしすぎて、逃げ出したくなる…。
 
 だが、今の状況を考えたら私よりダックンの方が恥ずかしいだろう。
 
 子供たちにお尻を丸出しにしてしまうかも知れないのだから。
 
 私は、体を密着させ、ダックンの耳(と、思われる場所)に今の状況を伝える。
 
「ダックン…お尻の部分がほつれてきてる!」

 私の声が聞こえたようで、ダックンは両手の羽根を後ろに伸ばして、ほつれている部分を確認しようとするが、衣装の作り方的に手が届く事はないだろう。
 
「とりあえず控え室に行って応急処置をしよう。私が後ろから付いていくから、ほつれている所は見えないと思うよ。」

 コクコクと頷くダックンと共に私は控え室に向かう。
 
 だが、控え室に向かう従業員通路の扉の前に人が大勢たむろしている。
 
「しまった…これじゃ控え室に行けないぞ。」

 イベントの最後の催し、ヒーローショーが始まる時間だった。ショーが始まっている時間は、裏の通路への出入りが止められているようだ。
 
「あー!ダックンも見に来てるー!」

 私達は、扉の少し手前の壁で子供たちに囲まれてしまう。
 
 仕方ない…このままじゃ、控え室には戻れないし。

 私達は、壁に背中を付けダックンの生脚が見えないような体勢で、ショーが終わるのを待つ事にした。
 
 ショーが始まれば子供たちはそちらに集中すると思ったのだが、ショーを理解できない子供たちは目の前にいる大きなアヒルの方が気になるらしい。
 
「子供たちが居なくなるのを待ちましょう。」
 
 キグルミから大きな反応はないが、おそらく大丈夫だろう。
 
 人が多く身動きが取れない間、ダックンの頭や体が取れないようにしっかりと押さえつける。
 
 そうすると、ほつれたキグルミから除く彼女の柔らかい部分が私の下半身に押し付けられる。
 
 意識しないようにしたいのだが、他に興味を引かれる事柄もないせいで、ぐりぐりと押し付けられたお尻の感触で私の愚息が硬くなってしまう。
 
 こんな状態でも子供たちの相手をしている彼女の動きが、私の愚息を追いうちのように刺激する。
 
(っく…彼女は、こんな人が多くて暑くなってる中で、がんばって仕事をしてるんだ。私が変なことを考えてどうする!)

「子供たちの興味が無くなるまでこのまま我慢してください。」

 自分に言い聞かせるように、彼女に伝え、フニフニとした肌の柔らかさを必死になって、ショーが終わるまで耐え続けた。

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