初めてのひと (Page 5)

 スミレがそう提案したが、頓田は無視して人気のない路地のどん詰まりに連れ込んだ。この場所は営業回りをしている頓田が時折サボるために使っている。誰からも忘れられた空白地帯だ。昼も夜も頓田以外に人間を見たことはない。野良猫がたまに居座っている程度だ。
 
 彼は、そんな自分の縄張りにスミレを連れ込んだのである。
 その行為は頓田に少しばかり蛮勇を振るわせた。
 
 スミレを最奥の壁に押し付け、その胸元に顔を埋める。ブラウスの向こうにブラジャーと乳房の感触があった。尻を揉みしだき、スカートをじわりとたくし上げる。
 
 彼女の体臭を鼻腔の奥一杯まで吸い込みながら、手繰り上げたスカートの下に隠れていた尻をさらに揉む。やわやわと形を変える尻から手を離し、頓田はベルトを外してズボンを地面に落とした。下着も同様である。
 
 二度の射精を経て、尚も彼の男性器は雄々しく鎌首を擡げていた。先端から先走りを涎のように垂らしている。
 
 男根をストッキングに包まれた下腹に擦り付けると、それだけで未知の快感が脳髄へと駆け上っていく。だが、無様に射精してしまわないように注意し、頓田はストッキングを不器用に脱がせる。
 
「こうするんですよ」

 スミレが頓田の耳元で囁きながらするするとストッキングを脱いだ。
 その様子に我慢の限界に達した頓田は、彼女の下着を横にずらして女性器を露出させる。すでにそこはてらてらと愛液で外まで濡れており、男を迎え入れる準備は万端整っていた。
 
 割れ目に沿って男根を擦りつけると、ぷじゅっと音を立てて愛液が地面へ落ちていく。だが、割れ目を何往復しても上手く挿入できない。どこに膣口があるのか分からないのだ。
 
「大丈夫、落ち着いて。ここ、そう、そこです。ゆっくり」

 温かい粘膜に包まれる感触。口に侵入した時にはなかった肉を掻き分ける感覚に、我知らず頓田は腰を振るわせた。
 
 初めて侵入する女性の内部は温かく、それでいて彼の男根をきつく締めあげる。そのコントラストは今まで体験したものとは、何もかも違っていた。学生時代に同級生が童貞を捨てたことを誇らしげに語っていたことも頷ける。
 
 生殖という哺乳動物にとって不可欠な行為であるにも関わらず、快楽のためだけに体を重ねる背徳感。しかも現代社会では屋外で行為に及ぶことは許されていない。
 
 二重三重の背徳が、ぞくぞくと背筋をざわつかせた。
 それら全てが快感だ。
 
 頓田はゆっくりと腰を動かす。恐る恐る女体の奥を探るように、自らの男根で肉の壁を掻き分けて前進する。
 
「んぅ……、あぁ」

 吐息に混じってスミレの声が耳に入ってくる。
 
 本物の喘ぎ声を聞いたことで、頓田はさらに興奮の度合いを強めた。がっしりと彼女の腰を掴み、乱暴に男根を膣の奥へと叩きつける。一番奥まで挿入するたびに二人の肉がぶつかり合い、淫水が弾ける音が路地の奥に満ちた。
 
 

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