初めてのひと

・作

中年になっても童貞の頓田(とんだ)。そんな彼はある日、SNSで知り合った女性、スミレと会うことになる。自分のような冴えない男と会いたがる美女に、警戒心を抱く頓田。しかし、スミレはそんな頓田に意外な告白をするのだった。

 田舎から上京してきて、一番驚いたことは人の多さではなかった。
 その無関心さだ。
 
 田舎ではどこに行っても誰かが見ているような、悪く言えば監視されているような独特の雰囲気があった。しかし、都会ではそれがない。どこにいても、まるで透明人間のように、誰も頓田(とんだ)に興味を示さなかった。
 
 仕方がない、と頓田は溜息をつく。
 そんな彼の姿がショーウィンドウに映っている。
 
 舞台の書き割りのようなそれには、まさに添え物といった感じの冴えない容姿の中肉中背の中年男性が映っていた。着ているものは大量生産されたスーツだ。
 
 待ち合わせ場所にしているビルはアパレルを中心に様々なテナントが入り、頓田の横を次々と男女が通り過ぎていった。誰もが着飾り、自分こそが物語の主人公だという自信に溢れている。
 少なくとも頓田にはそう見えていた。
 
「トントンさんですか?」
 声をかけられ、頓田はつい体を固くする。呼ばれ慣れない名前、ハンドルネームで声をかけられたからだ。だが、すぐに気を取り直して、首を巡らせる。
 
 そして、頓田は再び硬直した。
 彼の視線に先にいたのは、まさしく物語の登場人物のような女性だったからだ。
 すっきりとした鼻梁と柳眉。切れ長の目。桜色の少しばかり薄い唇。それらの要素が絶妙なバランスで配置され、ともすればキツイ印象を抱いてしまいそうなものだが、それが優しげで柔らかな風貌に整っている。
 
 黒いふんわりとしたブラウスと淑やかな印象のロングタイトスカートを合わせた立ち姿は、すらりとしなやかな女性らしい円やかさであった。
 
「あの……?」
「えっ、あっ、すみませんっ。スミレさん、ですよね?」
「はい」

 頓田の方もハンドルネームで呼びかけると、女性が笑った。
 笑顔には花が咲くという形容があるが、彼女の場合はぱっと周囲が明るくなる。それにつられたように、通りがかりの男達がちらちらと視線を向けた。そのついでに対面している男は誰なのか、と好奇の目が頓田に刺さる。
 
「初めまして、その……」
「無理にお名前を仰らなくても大丈夫ですよ、トントンさん」
「……ありがとうございます」

 思考を先回りされた気がして頓田は小さくなって、無難な言葉を口にした。礼を言われて怒る人間はそうそういない。
 
「とりあえず、どこか入りましょうか」
「はい」

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