初めてのひと (Page 6)
スミレの足を片方抱え、さらに奥へ挿入し易い体勢に変わり、頓田はスミレを壁に押し付ける。
「あっ、乱暴、なんです、ね」
奥を突かれながら瞳の光を蕩けさせ、スミレが彼の耳朶に歯を立てた。
「もうちょっと、角度をつけて……。そう、そんな感じです。ああ、良いっ。いっぱい突いて、トントンさんの童貞おちんちんで、一杯にしてぇ」
卑猥な高色と言葉で嬲られ、頓田の腰がより一層ガムシャラに前後する。ピストン運動の速度に比例して奥を叩く肉棒の強さも増す。
「そこ、そこぉ、あ、ああ、イク、イクイクぅ!」
ぎゅうと膣が収縮し、艶めかしく蠢動する。雄を確実に射精へと導く雌として備わった機能が十全に働く。堪らず彼は睾丸の中に残った精子の一滴まで勢いよく吐き出した。
人生で初めて女性の体内で射精した頓田は、目の奥で火花が散るような強烈な快感に悶える。
スミレが体を動かすと、硬度を失った頓田の性器が精液の糸を引きながら項垂れるように膣から出てきた。スミレの膣からも精子が滴り落ちる。
下半身を丸出しにした状態でビルの隙間から空を仰いでいた頓田へ、スミレがウェットティッシュを差し出す。
「どうぞ、これで綺麗にしてください」
なんとも準備が良い。
いや、そもそも最初から頓田の童貞を狙っていたのだから当然だろうか。
SNS上だけの付き合いしかない頓田に声をかけ、実際に会うことを打診したのは彼女の方が先なのだ。むしろ頓田は自分が男性であると教え、会うことを拒否すらした。
最初は猜疑心が勝っていた頓田だったが、今はスミレの体の虜になっている。
「あの、スミレさん」
「なんですか?」
「また、お会いできますか?」
その言葉にスミレは微妙な表情になった。
「私、女性経験のない男性にしか興味がないので」
ぐっと頓田は言葉に詰まった。
つまり、童貞を捨ててしまった頓田は、彼女にしてみれば価値のない相手になり下がっているのである。
どうすれば、また会えるだろう。
頓田は必死に頭を回転させる。
「トントンさん、今日はありがとうございました」
一緒に食事をした程度の気安さで礼を言い、スミレは背を向けた。
去っていく。
生まれて初めて抱いた女性が。
生まれて初めて、もっと会いたいと思った女性が。
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