星が見たい (Page 7)
俺はハッとして目を開けた。
目の前にはまだ星空が広がっていて、解説員の淡々とした説明が続いている。
でも、隣のみのりはそんな星空を見ていないのが分かった。
俺の肩に頭を預けて頬ずりし、腕を抱きしめるようににじり寄ってきている。
彼女が見たかったのは、この星空ではない。
もっといっぱい見たいんだ。
俺は寝返りをうつようにして彼女に身体を向けた。
驚いて顔をあげた彼女の頬に手を添えて、僅かに触れるだけのキスをする。
「みのりが、みたいのはこっちの星じゃなかったんだね。……ごめん。家に帰ろうか」
「……ん」
囁いた俺の台詞に、彼女は俯き加減に頷いた。
真っ暗で見えるわけないが、その顔は真っ赤に蕩けた牝の顔のはずだ。
(了)
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