籠の鳥は、いつ出やる (Page 11)
ぶるっと邦彦の背が震え、ゼリーのように濃い精液が子宮目がけて射精された。どくどくと息子と同い年の少女の子宮へ、邦彦は吐精する。
「すごい、熱いぃ、邦彦さんのせーし、凄い……」
最奥で射精されたことで絶頂した紘奈が譫言のように呟く。口の端から涎が糸を吐き、恍惚とした表情は見たことがないものだった。
紘奈の足から力が抜け、邦彦が手を放すと彼女はへたり込んでしまう。その拍子に男根が抜けて栓が失われた膣から、精子が溢れる。彼女の足の間で愛液溜まりに精子が入り混じって狭い袋小路に淫臭が強く立ち込めた。
「紘奈ちゃん、さあ、きれいにして」
脱力し俯いていた紘奈の前髪を掴んで顔を上げさせ、邦彦は愛液と精子で汚れた性器を突き付ける。紘奈はぼんやりした顔のまま、彼の男根を舌で丁寧に舐り始めた。
射精後の気怠さと、胸中を満たす充足感に邦彦は息を吐いて、空を仰ぐ。
頭上は黒々とした木々の枝葉に阻まれ、何も見通すことはできなかった。
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長く急な階段を下り、地面に足を下ろした所で紘奈は邦彦へ向き直った。
「ここまでで大丈夫です。ありがとうございます」
「気をつけて帰りなさい」
「はい。……おやすみなさい、邦彦さん」
はにかんだ表情で告げると、邦彦は優しそうに見える表情で頷き、背を向け去って行った。
紘奈は彼の背中が見えなくなるまで見送る。
一人きりで取り残され、すっかり暗くなった路地に立ち尽くしていた紘奈は、不意に腹を押さえて膝を折った。そして、ついにしゃがみ込んでしまう。
「くっ……、くっ、くくくっ、ふふふふ」
腹を押さえ、笑いの発作を紘奈は必死に堪えていた。
「赤ちゃん、できちゃうかもしれませんよ、邦彦さん」
男の精液を内股に零している紘奈の顔には笑みが――はっきりと嘲笑が張り付いていた。
墨色の空を仰ぎ、紘奈は声もなく哄笑する。
「健太君は、弟と妹、どっちがほしい」
地面を撫でる彼女の手付きは異様に優しい。そこに誰かが倒れ伏しているかのように。
「私のことみたいに、弟と妹をいじめちゃだめだよ? 健太君」
ギラついた紘奈の瞳には小学生のまま、助けるふりをして自分のいじめの糸を裏で引いていた健太の姿が確かに映っていた。
「早く起きてよ。健太君のお父さんに、私ずぅっと犯されてるんだよ。私がされたこと、全部教えてあげるからね」
地面を撫でていた手が離れ、自らの顔を覆う。
健太に一体どんなメリットがあったのか、今となっては分からない。だか、両手にはっきりと残っている健太の背を突き飛ばした時の硬い感触は確かだ。他の何ものとも代替不可能な感触は、紘奈の中へ深く深く根を張っている。
「ふくぅ」
熱い吐息を吐き、その感触を全身へと掌を通して広げる。
根付いたものは、いつか花開くだろう。
花弁を翼のように広げて美しく、そして醜悪に。
紘奈という檻の中で不吉を歌う破滅の鳥は、いつ飛び立つのか。
それは彼女自身にも、まだ分からない。
(了)
ゾクゾクする
エロくて怖くて哀しくて…最高でした。
ま さん 2023年12月24日