鴨の味 (Page 8)

「あああああっ、んんっ、んぅぅぅぅ」

龍二の射精と同時に穂波も絶頂していた。
他では得られない強烈なこの快感を、2人は捨てられるはずもないのに、離れて生活していたこの何年かを互いに思っていた。

ぐぽ、ぐぽっと穂波は龍二のペニスをしゃぶっていた。
もう何度目かわからない、射精後のフェラチオだ。
欲望を激しくぶつけ合ってどろどろに溶け合った夜が明けようとしていた。

「おい、もう7時なるぞ」

「…っ、え?」

口をペニスから話して穂波は龍二と顔を見合わせたが、それでも龍二のペニスを愛おしそうに撫でる手の動きは止まらないままだ。
この一晩で2人は思い知っていた。
これ以外のセックスは全てセックスではなかったのだと。
やはり互いにとってこの相手だけが特別の存在なのだと。

「これが最後なんて言わないよな」

離れることなどできない。
例えその先に待つのが破滅でも。

「最後だよ」

「え?」

「今日の最後にもう一回、ね?」

フェラチオですっかり回復して勃起している龍二のペニスをゆるく扱きながら、穂波は悪戯っぽく笑った。

「あ、ああ」

「龍二にいちゃんしか、欲しくないんだよ…離れるなんて無理だよ」

穂波の言葉の最後の方は、もにょもにょと呟くように小さく言ったので聞き取れなかった。

龍二は穂波の身体を後ろに向かせ、バックで挿入しようとしながら、絶対にまた会ってこういう夜を迎えることになるのを予感しているのだった。

(了)

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