感染型・共感症候群 (Page 4)
私は左に座る女とは反対の方向に頭を傾ける。
ゴソゴソ…。
(ん…!?)
何を考えているのか、女が私の下半身を弄り始めた!服の上からでも女の指の柔らかさが伝わる!
躊躇いもなく女は私のスボンのチャックを下げ男性器を取り出す。
先程の状況を見ていた為に、私の男性器は勃起したままだ…熱を帯びた男性器がシアター内のヒンヤリとした空気を感じる。
女は男性器を握り締め上下に動かす…。
(マズイ!起きた方がいいか!?)
私が眠っているからこんな行動に出たのかもしれないし、起きていると知ったら慌てて逃げ出すかもしれない。
(いや…起きたとしてもこの状況で私が何もしていないと言うことを、他の人に信じてもらえるだろうか?)
薄暗い闇の中で目撃者もいない、この女が悲鳴の1つでもあげて逃げ出せば、下半身を露出している私の方が圧倒的に不利だろう。
(耐えるしかない…。)
目を瞑っている私の唇に生暖かな感触が伝わる。
思わず目を開けてしまった…。
眼前には女性の顔。
驚き戸惑うと女の舌が口内へと侵入してくる。
触れる舌が生き物のように口の中を這いずり獲物を探す。
逃げ場の無い口の中で私の舌が捕まると、初めて女と目が合った。
捕まえた…細く歪む女の瞳がそう言っているような気がした。
柔らかい唇の吸引力と動きに舌をフェラチオされているようだ。
ジュポジュポと暖かい唇が私の舌を唾液で犯す。
「うっ…!」
こんな状況でも、数年ぶりの女性からの手ほどきに私の股間は大きく反応してしまうのがなんとも憎らしい。
ビュビュッ!
強く握り締められた男性器から精液が発射されてしまった。
「はぁ…。」
唇が離れ、私の精液が付いた右手を見せ付けるようにぺろっと舐める。
その姿が女の後ろのスクリーンに映る吸血鬼と重なる。
映画の中では獲物の血を吸っている猟奇的なシーン。
獲物を自分のモノにしたという喜びの表情と、口から滴る血の赤さが恐怖にも淫靡にも捉えられる。
目の前の女も精液を舐めながら、同じ表情で私を見てくる…私の意識は映画を観ているときの様に、全く動かなくなっていた。
続きが観たい…女が主役でどんな風に私という登場人物を獲物として自分のモノにするのか…。
右手に付いた精液を処理すると、女は座席の前に屈み込み、私の男性器を口に含む。
先程の舌の吸引とは別で、口全体を使って精液で汚れた男性器をキレイに拭いているようだ。
「うああ…。」
出したばっかりの男性器は敏感になり、ネチャネチャと動かす度に、情けなくも声が上がってしまう。
『どうして、こんな事を…。私には妻がいるんだ。』
『私だって夫はいるわ。今頃、大好きな仕事に熱中していて、私の事なんかこれっぽっちも考えていないでしょうけどね。』
寝てしまっていたから話の流れはわからない…。
だが、これから主演2人の関係が変わっていくのは理解できる。
『君の不満に私を巻き込まないでくれ!私は人間の様に生きていたいんだ!』
本当だ…なぜ私がこんな状況になっているんだ?
この女には今日、初めて会う…いや、もしかしたら私と同じように毎朝映画館に通っていたのかも…。
『不満なんてないわ…私は人間の様に欲望に忠実に生きているだけよ。』
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