胸の花が綻ぶと (Page 7)

「うわ、すっげ」

 開口一番、藤馬は汐里の部屋を見てそう言った。何しろ巨大な本棚が壁を占領し、そこに収まりきらない本がケースに入れられ、あちこちに散在しているのである。藤馬自身も大量に買うようになって本棚に書籍が収まらくなっていたが、汐里のそれは明らかに年季が違う。

「これ、汐里さんどこで生活してんの?」

「え? 普通にしてるけど」

 人間の生活スペースはベッドの付近とキッチンの周囲だけで、どう見てもこの部屋の主体は書籍である。よく整理され、掃除もされており不潔な印象はないが、少しばかり異様ではあった。

「こっちの本棚に全巻まとめてあるから、好きなだけ持っていって」

「一冊ずつにしとく」

 そう言って本を引き抜こうとした手がぴたりと止まってしまう。本棚には隙間なくぎっちりと本が詰まっており、どこから取り出せばいいのか見当もつかなかったのだ。

「あの、汐里さん、これ」

「ああ、取れないのね」

 ひょいと彼女は目当ての本を簡単に取り出した。まるで手品だ。

「マジか」

 藤馬も真似をして同じように本を取り出そうとするが、半分ほどで引っかってそれ以上出てこない。ムキになって彼は本を引っ張る。するとどこかでバランスが崩れたのか、本棚の本がずるりとまとめて彼に向って落下してきた。

「は?」

 とっさに隣を見ると汐里は目を丸くしているばかりで逃げる様子がない。咄嗟に藤馬は汐里を庇う。どかどかと本が彼の背中や頭に当たる。

「あっぷね。汐里さん、ごめん。本、散らかしちゃったよ」

「本は……いいけど。体」

 放心していた汐里は我に返ると藤馬をベッドまで強引に連れていき、服を脱がしてしまう。それから念入りに本がぶつかった個所を検分された。

「傷はなさそうだけど、なにかあったらすぐ病院に行ってね」

「大丈夫っすよ。それより」

 半裸でベッドに寝そべっていた藤馬は体を起こした。

「男のこと、こんなふうに裸にしといて、無事じゃ終われないっすよ?」

「え?」

 意地悪く笑った藤馬は汐里の頬に口付ける。強引に押し倒したりして嫌われたくはない。それ以上のことを急ぐつもりはなかった。だが、そんな彼の思惑など吹き飛ばすように口付けられた頬を押さえ、汐里がおずおずと言う。

「それで、終わり?」

「そんなこと言われたら、もう止まれないけど、いいの?」

「うん」

 返事をしながらも汐里は立ち上がる。

「どこ行くの?」

 言動がちぐはぐな汐里を藤馬は慌てて捕まえた。

「シャワー浴びたくて」

「えー、いいよ」

 先程までの心境はどこへやら。藤馬は半ば強引に汐里を抱き寄せ、ベッドに押し倒した。汐里は抵抗はしなかったがね恥ずかしそうに目を伏せてしまう。その様子がいじらしく、藤馬は自分が昂っていくのを感じる。

 一枚一枚丁寧に汐里の服を脱がし、藤馬は愛撫を始めた。

 その時、彼は汐里の乳房の間に自分がしているものと同じ意匠のペンダントを見つけた。

「お揃いだ」

 藤馬は口の中で呟いてから、汐里の乳房の頂点でつんと固くなっていた乳首を指先で弄ぶ。ぴくぴくと体を震わせ、快感に反応する彼女に藤馬を気をよくしてさらに責める。手を、唇を、舌を使って汐里の性感を引き出していく。

「あ、やぁ」

 足を大きく開き、秘所に藤馬が顔を埋めると汐里が小さく抵抗した。首をいやいやと振り、羞恥心を露わにしている。

 その様子が一層藤馬を挑発していることに気付いていない。彼は欲望に任せて、彼女の割れ目に舌を這わせた。すっかり濡れそぼっている秘所はさらに蜜を溢れさせ、陰核を勃起させる。舌先の愛撫だけでなく、唇を使って刺激するとたちまち汐里は昇りつめてしまう。

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