馴染みのからだ (Page 6)
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「やっぱり将吾とのセックスが、一番気持ちいい」
悔しそうな表情で、しかしごまかすことなく杏奈は言った。
元恋人とセックスだけの関係になるのは自分が軽んじられているようで惨めだと思っていたが、いいと思えないのに誰彼構わずセックスする生活の方がよほど惨めだ。
「お、素直だね」
飄々と受け入れようとしているが、将吾の方でもやはりセックスの面で杏奈に未練はあった。今夜久しぶりにやってみて思ったが、やはりこれほど反応が良く互いの性器がなじむ相手はそう見つからない。
「将吾が嫌じゃなければ、またこうして会いたいんだけど」
「俺もそう思ってるよ」
恋人としてはうまくいかなかった2人だが、セックスの相性は抜群にいい。
互いにとって互いとのセックスがナンバーワンだと言える相手と、どうしてセフレになってはいけないことがあるだろうか。
「じゃぁ…とりあえず今度の週末暇?」
「はやっ」
「だって思い出しちゃったら、すぐまたしたくなったの」
セックスは終わったはずなのに、素直な態度の杏奈が可愛らしく思える。
「…週末暇だよ、てか用事あっても空けるわ、そんなん言われたら」
こんなにセックスに対して前のめりな気持ちになるのは、杏奈と別れて以来なかったことだと、やはり将吾は杏奈に伝えることはできないのだった。
(了)
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