パリの人助けと神のご褒美

・作

出張中のパリで、パスポート、サイフ、帰りの航空チケット、すべてを盗まれて途方にくれる日本人OLがいました。あまりに気の毒で、ホテルの部屋をとってあげて、一緒に食事しました。下心からではありません。でも彼女は強い負い目を感じるらしく、結局は私の言いなりです。その顛末をお話しします。

海外で日本人女性をナンパしたことが一度だけあります。

ある年の8月、フランス中部の町ルクルゾーに出張中でしたが、突然の日本からの電話でイタリア・トリノに回ることになりました。
ところがイタリアは夏のバカンス中で、仕事のキーパーソンはいつ休暇から戻るか分かりません。
パリで様子を見ることにしました。

航空チケットは、今はWEBから簡単に変更できます。
ところが当時は、航空会社のオフィスで紙の航空チケットの書き換えが必要でした。
私のチケットは、発券元が日本の航空会社でしたので、パリの支社で手続きしました。

カウンターで手続きしていると、隣で若い女性がなにやら説明しながら訴えています。
どうも、日本から到着直後に空港で荷物から目を離したすきに、一切合切を盗まれたようです。
パスポート、サイフ、帰りの航空券、すべてを失い途方に暮れていました。

あまりに気の毒で声をかけると、その日のホテル代はむろん、食費にも困るありさま。
私のホテルに連れていき、部屋をとってあげました。

この時、決して下心があったわけではありません。
純粋に同情心からでした。

彼女は特に美人というわけではなく、十人並みの容貌です。
しかし、すらっとした立ち姿で、手足が長く、身体全体が細く柔らかく、隙がありません。

抱いたら、いい味してるだろうなとは思いました。

近くのレストランで夕食をとりながら、明日からの予定を話し合いました。
まず警察、日本大使館に行かなければなりません。
彼女の着替えや洗面用具なども買いそろえる必要があります。

話をしていると、知性の高さを感じさせる女性であることが分かってきました。
頭の回転が速く、相手を飽きさせません。

ワインが入り饒舌になったせいか、自分のことや家族のことなども話してくれました。
私への感謝や申し訳ない気持ちを、何度も繰り返していました。

性格の良さ、相手をおもんばかる優しさ、教養の深さなどが、魅力となって身体全体に現れます。
この子が欲しいと思うようになったのです。

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