恋と呼ぶには近すぎる (Page 5)

 冷たいものを食べたおかげか、龍之介は昼間の残り火のような熱が弱まるのを感じる。おかげで寝ることができそうだ。

「食いカス寄越せよ」

「はいよ」

 アイスの包みを捨てに、彼は冷房の効いた部屋から台所へと向かう。さっさとゴミを処分し、部屋に戻るとベッドで晴稀が寝転がっていた。

「このクソ暑いのに一緒に寝るつもりか?」

「エアコンついてるし、大丈夫でしょ」

 ベッドに腰を下ろし、龍之介は溜息を吐いた。

「昔使ってたベッドより小さいんだよ」

「君はそっちで寝てよ」

 寝転がったまま晴稀はベッドの端を指さすが、自分はちゃっかり壁際をキープしている。二人で寝ているときにベッドから落ちるのはごめんということだろう。

「んん? これなに?」

 反るようにして晴稀はヘッドボードに手を伸ばした。その拍子に服の裾からへそが出る。それを龍之介が直してやり、彼女の手元へ再び目をやるとそこにはコンドームが握られていた。

「いつからあるの? これ?」

「もう忘れた」

「半分ぐらいしか、使ってないね」

「使い切る前に別れたんだよ」

「ふぅん」

 手の中でコンドームを弄び、晴稀は遠くを見る目になった。

「高校の時はさ、すぐ使い切ってたよね」

「猿みたいにヤってたからな」

「お互いに相手がいたのにね」

「お行儀よく付き合ってたからだろ」

「その分、私で発散してたの?」

「お前が言うのか」

 晴稀の手からコンドームを奪い取り、龍之介は当時を思い起こす。

 龍之介と晴稀はそれぞれ特定の相手と付き合う前から肉体関係を持っていた。若さ故の性への関心というよりも、気づけば肉体関係を持っていた、というのが龍之介の正直な思いだった。きっかけすら曖昧で、高校時代の隙間を埋めるようにお互いがすぐ傍にいたのである。

 別々の大学に進学してからは多少疎遠になった――ようにも思えるが、気づけば顔を合わせていた。

「ねえ、ソーセキ」

 座っている龍之介の腰に後ろから巻きつくように晴稀が身を寄せる。

「する?」

「……そうだな」

 龍之介は晴稀に覆い被さり、首筋を甘噛みする。くすぐったいのか、晴稀が彼の耳元で小さく笑う。Tシャツ越しに乳房をやんわり揉む。乳房の頂点で固さを増した突起をかりかりと少し乱暴にひっかく。服一枚隔てているだけで、痛みではなく快感を得るのだと龍之介は経験から知っていた。

「んっ、はぁっ」

 彼の予想通り、晴稀は息を荒くし始めている。彼女の手が龍之介の背中を優しく撫で、もっとしてほしいと催促していた。服の中へと手を入れ、滑らかな肌を丹念に撫ぜる。形の良い乳房を直に揉み、乳首を責めた。くりくりと指先で弄ぶと晴稀の体がその度に反応する。

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