ある日突然幽霊に取り憑かれたからエッチな抵抗をしてみた! (Page 8)

「なるほどなぁ…それで全裸で寝てたって訳だ。」

「はい…。もしかしたら、また今夜も女の幽霊が出できて、今度こそ俺を道連れにするかも。」

 俺はしっかりと服を着替え、目の前の男に事の経緯を話し終えた。

「まぁ…その心配はねぇだろうな。そいつらみんな成仏しちまってるよ。」

「え?」

「たとえ出てきても、お前が取り殺されるって事はない。半信半疑だったが…お前さんは、女の幽霊限定で好かれる霊媒体質なんだよ。」

「ええええええ!!!なんすか、それは!??」

「女の幽霊に好かれて、触れて、ヤルことやれる。そういう体質の事だな…おめでとう!!」

「いやいや!全然、嬉しくないし!なんで急にそんな体質に!?」

「俺に聞かれても分からねぇよ。俺はあの子に頼まれてスマホを届けに来ただけの、単なる霊感のあるおじさんなんだからな。」

 いつの間に入ってきたのか、男が目線で示す方向に小学生位の女の子がいた。

 直感で分かった…この子は生きてる人間じゃない。

「お前の話もこの子に全部聞いた。感謝しとけよ?例の交差点でこの子がお前の手を掴まなかったら、ボーっと車道に飛び出して引かれてただろうからな。」

 そういえば、ムリして残業してたから、ここ数日ふらふら帰って来て、ただ寝るだけの生活だったっけ。

「まぁ…わかったなら俺の役目も終わりだな。じゃ、帰るぜー。」

 おもむろに立ち上がって見知らぬ男は帰ろうとする。

「ちょ!俺はこれからどうすれば!?体質ならまた幽霊が集まってくるかもしれないんですよね!」

「そしたら、また片っ端からヤレばイイだけの話だ。そうしたら満足して成仏するみたいだし。」

 昨日の夜みたいなことをまたするの!?

「まぁ、駅前で取り憑かれてるお前をスルーした手前…詫びとしてアドバイスするなら、霊が集まりそうなスポットや時期には出歩かないことだ…じゃあな。」

 バタン。

 本当に出て行ってしまった…霊が集まりそうな場所…お盆とか心霊スポットとかかな?

 それくらいなら、普通の日常を送っていれば問題ないはずだ。

 チャラララ~♪チャラ♪

 突然のスマホの音楽にビクつく。部屋に残された幽霊の女の子が微笑みながら手招きする。

「もしもし…?」

「ああ!やっと出た!!寝坊か?家まで迎えに行ってやるから!さっさと出かける準備しとけよ?」

 通話は一方的に切れてしまった…スマホに表示された日付は、週末の旅行の日付…。

(まさか…丸一日以上部屋で寝てたのか!?)

 着信の嵐と共に通知された前日のメッセージを見る。

『旅行の目的地は海!夏の連休を話題のナンパスポットと心霊スポットで過ごそうぜ!!』

 突然始まった俺の非日常は…まだまだ続きそうな予感でいっぱいだ…。

(了)

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