雨の喫茶店

・作

父の喫茶店を引き継いだ野口裕司と、近所の大学に通う大学院生のアルバイト渡辺礼奈は、3年ほど交際を続けている。ある日の午後、普段は賑わう店内ががらんとしていた。夕方からひどい雨が降るという予報が出ていたのだ。外の高い湿度にあてられたのか、裕司はむらむらと湧き上がる欲望を感じて礼奈にちょっかいを出し始めた。嗜めながらもだんだん気分が乗ってしまう礼奈が昂ってきたところで、店内に客が訪れてしまい…

「暇だなあ」

カウンターの内側から店の外をぼんやり眺め、野口裕司は呟いた。
この古い喫茶店は、普段は近所の大学の学生でそれなりに賑わっているが、今日は夕方から大雨の予報が出ているためか朝から客が少なかった。

「暇ですねえ」

裕司の隣で、バイトの渡辺礼奈がカップを磨きながら言った。
礼奈はこの近所の大学に通う理系の大学院生で、この店で働くようになって既に3年が経っている。

「今日はもう早めに閉めてもいいな…」

「夕方から夜にかけてひどくなるらしいですからね…午後は休講も結構出てましたし」

「礼奈も今日は降り出す前にあがった方がいいだろうな」

「店長、知ってるでしょ?私んちここから2分なの。心配いりませんよ」

14時を少しまわったところ、普段なら客席の半分は埋まっている時間だが、今日は昼前に来た2組の客が最後だ。
外はどんよりと曇っており、予報より早く雨が降り出しそうな気配もある。

じめっとした湿気が店内にも入り込んできたせいなのか、また店内に客がいない昼下がりに礼奈と2人きりでいるという非日常感があるからなのか、裕司はなんとなくムラムラと欲望が湧き上がってきた。
そして礼奈の作業しているすぐ隣にぴたっと並んで。後ろから礼奈の尻たぶをするりと撫でた。

「ちょっ…店長」

「んんー?」

素知らぬふりで裕司は礼奈の尻を撫で回し続けた。
伸縮性のあるカジュアルなスカートの上から、礼奈の尻のぷりっとした張りと柔らかさを感じ、裕司は窓から外を見ながらだんだんと興奮を高めていった。

「何してるんですか、こんなとこで…っ」

礼奈はピクピクと細かく脚を震わせながら言った。

「いや、暇だからさ」

裕司の言葉に呆れたようにため息をついて、礼奈は優しく裕司の手を払った。

「だめですよ、こんなとこじゃ」

裕司を諭しながら、声色がどこか甘い響きを持っているのは、この状況に礼奈自身も少し欲情しているからかもしれなかった。

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感想・レビュー

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雨の喫茶店 へのコメント一覧

  • すきです…

    ゆ。 さん 2022年10月17日

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