雨の喫茶店 (Page 2)
裕司が、他界した父の跡を継いでこの店の経営を始めたのは5年前、まだ25歳の頃だった。
立地がいいためか、また裕司自身もコーヒーにはそれなりに興味があったからか、若い身でありながら最低限の利益を維持できていた。
当初は昔から手伝ってくれていたバイトの女性がいたのだが、彼女が家の事情で店を辞めることになったのが3年ほど前だ。
新しいバイトをゆるく募集していた時に、当時20歳だった礼奈が応募してきた。
礼奈は近くの大学に通う3年生で、近所で働けるところを探しているとのことだった。
その頃、礼奈は地味な印象だったが、清潔感のあるショートカットと笑うと細くなる目が可愛らしかったので即採用を決めた裕司は、今思えば一目惚れをしていたのかもしれない。
好きなコーヒーの話で意気投合した2人は間も無く恋人として付き合うようになった。
当時27歳になっていた裕司は7歳も年下の大学生と交際なんてと最初は思ったが、話せば話すほど、その賢さや言葉の豊富さに惹かれていたので思い切って交際を申し込んだのだった。
「私、勉強ばっかりしてきたから…男性とお付き合いしたことないんです」
告白した時、礼奈はそのように言った。
「それでも大丈夫ですか?」
上目遣いに裕司をちらと見つめて、恥ずかしそうに言った礼奈が愛しくて「もちろん」と答えた裕司だったが、それからしばらくは本当に大変だった。
キスやハグをしても大袈裟にリアクションする彼女のペースに合わせるつもりで少しずつ事を進めていったが、初めてのセックスではペニスの挿入までに3つの夜が必要だった。
初めの夜は指の挿入だけでも苦しそうにする礼奈を見ていられず、全身の愛撫だけで終わった。
2度目の夜には指の挿入が前回よりスムーズで、それで辛うじて快感を得られるまでにはなったが、それでもペニスの先端を挿入しただけでぎゅっと目をつぶって痛みに耐える礼奈に自分の欲望を押し込むことはできなかった。
その時、膣内は十分に濡れていることを裕司は指で確認していたが、これまでの人生で外部から何も挿入したことがない膣は硬く、緊張も手伝ってきゅうっと締まるばかりで、明らかに外からの侵入を拒んでいた。
「無理しなくていい、何度失敗しても、もしセックスがなくてもそれでいいんだから」
3度目の夜、裕司は最初にそう言った。
半分はこれまでの経緯で落ち込む彼女を慰めるため、そしてもう半分は本心からだった。
自分のために、人生で経験のない痛みと恐怖に耐えようとしてくれているというだけで、彼女の愛情は十分に感じられたし、裕司の心は満たされていたのである。
その夜、ペニスを前回より少し奥まで挿入した時点で苦悶の表情を浮かべた礼奈に「やっぱり無理はしないで」と裕司が言おうとした瞬間、礼奈は目に涙を浮かべて言った。
「お願い…最後まで…」
「いや…痛いだろ」
「大丈夫…大丈夫だから…ぎゅっとして、全部挿れて…」
すきです…
ゆ。 さん 2022年10月17日