あなたにひどくしてほしい (Page 2)
「クッキーを焼いたんですけど、お茶しませんか?」
詩織と宗平の妻は仲が良く、宗平も何度か手作り菓子を食べたことがある。売り物かと思うほどおいしいので、ありがたく頂いている。
宗平の妻は今パート中で、詩織の夫は単身赴任中だ。お互いの家には今、誰もいない。
「いいんですか?」
「ええ、作りすぎてしまいましたので遠慮なさらずに」
ほんの少し下心を抱きつつ隣の家に上がる。焼けたクッキーのいい匂いがした。
食べられるのはクッキーだけかと心の中でつぶやく。本当に何かできるとは思っていないが、期待してしまうのは男の性だ。
「コーヒーでいいですか?」
「あ、はい」
詩織がキッチンに行き、宗平はリビングのソファに座った。スマホは家に置いてあるので手持ち無沙汰で、テーブルに置いてあった新聞を手に取る。何かが間から落ちた。拾おうとして、固まる。
コンドームだった。
自分の家なんだからどこでしようと勝手だが、客に見つかるような場所に放置しないでほしいと思いながら拾う。見つけた事に気づかれたら気まずい事この上ないので、元通り新聞の間に挟もうとした。
「益岡さん」
詩織が宗平の持っている物を見た。
「あっいやあのこれは俺のじゃなくて」
「ああ……それ、見つけてしまいました?」
宗平の手からコンドームを取り、意味ありげに微笑む。
「使おうと思いまして」
「あ、そうですね、使うために買うんですからね。旦那さんが……」
「今日、使おうと思っているんです」
詩織が横に座って、宗平の手を握ってきた。
「夫が単身赴任で寂しくて……本当はついていこうと思っていたんですけど、この家も買ったばかりでしたから。嫌ですか?」
「嫌じゃ、ないですけど……」
元々下心を抱いていたとはいえ、本当に誘ってくるとは思っていなかったので急な展開についていけてなかった。
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