ある官能小説家の失敗~ゴーストライター食ったら喰われた!~ (Page 3)
奈月はもう、男の今までの行為を許していた。あんなことを気に病むより、とにかく今は欲しかった。目の前の男の、血管が脈打つ素晴らしく力強い男根が。
「ええ、お願い……でも、コンドームはいいの。先生のを生で欲しいの」
「え、でも……」
「蜜の洞窟をゴム付きで味わうなんて、官能小説書きとして失格だわ。
私も素股だけでは嫌。血管が脈打っているような素晴らしい物を、自分の肉で、直接味わってみたいんです」
奈月の両目はうるみ、涙がこぼれていた。ゴムなんか挟んだら、本当の美味しさなんて分からないじゃない?……なのに、この男は。
だが同業だけに、男も奈月の気持ちは理解できたようだ。
「分かりました、ではまずは正常位で……」
亀頭がまず潜り込み、次いで太い竿の部分が奈月の中へじゅぷっと一気に入ってきた。
「きゃぁ……あああ」
洞窟の最奥まではまだまだだったが、男根に満たされ、そして男根が脈打っているのを感じられるという感覚は、素晴らしかった。快感とはまた別の、充足感というものだろう。
『気持ち、いい』と頭の中でつぶやき、奈月は男根への締め付けを強くしていった。自分の中で血管が脈打っている感触を、自分の肉壁全体で、もっと感じてみたい。
「駄目だ、やめてください。もう駄目です」
男の懇願は奈月の耳には届かなかった。
『なんて素敵なの。私の中で脈打ちながら、震えてる。私の心臓と同じリズムで脈打ってはいないけれど、そうなったらもっと素敵……』
奈月は幸せそうに、ほう……と息を吐いた後、脈打つ男根と同じリズムになるよう、自分の蜜洞を震わせてみた。
『本当にセックスで感じるって、こういうことじゃない?普段のオーガズムなんかより、すごく幸せ……こんなに気持ちよくて私、いいのかしら。ダメなのかな』
そして体全体も同じリズムで震わせようとした時、男の悲鳴が聞こえた。何だろうと目を開いてみると……。
「もう駄目だ……出してしまった。一滴残らず絞り出されるような感じだった。
貴女は、一体何なのですか……恐ろしいひとだ。もう一度貴女を抱ける勇気は、僕にはない。他の女性と出来なくなってしまいそうだ」
恐怖と……畏れのようなものが男の表情から感じられる。しかし今の奈月は、せめてもう一度、もう一度だけは男根を味わっておきたかった。
「じゃあ、今度は後ろから……大丈夫、体の力は抜いておきますから。ね、それならもう一度は出来るでしょう?」
「……分かりました。でも二度目をするなら責任は取ってくださいね。あとコンドームは、二重で付けますからね」
四つんばいになりながら、奈月は訳が分からなくなっていた。中に入る前は、男が主導権を握っていたのに、どうして男は、奈月の顔色をうかがうようになったのだろう。……奈月は全身の力を抜き、枕を抱えて顔を埋めた。
「ではもう一度……早く」
幸せな失敗
タイトルに釣られて読みました!
女性が優位になる点と描写が官能的でリアルな点でこの作品はとても素敵だと思いました。
とと さん 2020年6月4日