だから、もっとしたい (Page 6)
「抜いてきてた?って、なに、それ?」
結局朝まで何度も求めあった。
眠い目を擦りながらホテルを出るための身支度を整える薫に雅人が告白したのは、薫にとっては心底意外な内容だった。
「もともと性欲強いんだよ、俺。でも薫に無理させたくなくてさ、会う時は毎回先に抜いてたの」
「え?それでいつも、1回で終わってたの?」
薫は自分の心配が杞憂だったことを知り、安堵する。
「うん、でも結局薫を見てると足りなくなるから、俺も薫が寝てる間に1人でしたりしてたんだよ」
「言ってくれればよかったのに!」
「嫌われたくなかったんだよ。薫だって、もっとしたいって言ってくれたら…」
「そんなの言えないよぉ!」
「…うん、だから薫がしてるのに気づいて、めちゃくちゃ嬉しかった」
「…ふふふ、私たち同じこと思ってたんだね」
顔を見合わせて笑い、2人はひとつ絆が深まったような幸福感を覚えた。
「これからは、我慢しないでいいんだよな?」
「うん、私も我慢しない…」
何時間もずっと睦み合っていたのに、話しているとまだ込み上げてくるものがあるのは、これから先の未来に期待しているからなのだろうと薫は思った。
へとへとになった身体とは裏腹に気持ちは高まり、それはほんの初めての恋のような高揚感を2人にもたらしていたのである。
(了)
良すぎです
こんなふうにお互いに求め合えるのいいね
いくら さん 2023年5月13日