実は俺、デリヘル嬢と毎日ヤってる (Page 2)
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「ふう。……いっぱい。また、明日も?」
汗だくになった身体をベッドに横たわらせたまま、嬢が気怠げに尋ねてきた。
その手には俺の種が詰まった薄いゴムの袋が摘まれている。
「ああ、お願いできる?」
「んん、うん。私は嬉しいんだけど……お兄さんは大丈夫? ほら、うちの店、そんなに安い方でもないし」
「前にも言ったけど、命には変えられないからね」
「それなんだけど、ホント? エッチしてないと連れて行かれるって……。なんか信じられないんだけど」
「うん。俺も最初はそうだったけど、さ。森で目が合っただけなのに、ホントにうちに来たからね。たまたまスズちゃんと遊んでたから助かったんだ」
「今日も?」
「ああ、後ろから見てた」
俺は頷いて、安アパートの玄関を振り返った。
キッチンの隣に並ぶ木製のドアはしっかりと鍵がかけられているが、白いクネクネとしたものが、ついさっきまでそこに立っていた。
最近は部屋の中にまで入ってきて俺と彼女のすぐそばまで来ていることは、黙っておいた方がいいだろう。
といっても、彼女は最初から信じてくれてはいない。そうでなければ気味悪がって来てくれるはずもない。
「……私には全然見えないや」
「見えなくていいんだよ。見えたら、連れて行かれる」
「そか」
「怖い?」
「……ちょっとは。でも見えないし」
「あいつらは死だから、生を作る行為が苦手なんだよ。だから君は大丈夫。でも、怖いなら、無理にーー」
「ううん。せっかくの太客、手放すわけないじゃん」
「ありがとう。だったら、次こそ生でーー」
「んん、お兄さんなら、って思うけど……。ちょっとまだ無理かな。……マジでできたら困るでしょ?」
彼女はそう言って微笑むと、誤魔化すように「よっと」と声をあげて身体を起こした。
「シャワー行こ。お兄さん激しいから、いっぱい汗かいちゃった」
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「え? え?」
スズが俺の胸を洗う手を止めて、目を見開いた。
俺は首を傾げ、彼女の視線の先を振り返る。
「っ!」
いた。
俺のすぐ後ろに、白いクネクネとしたものが立っている。
そいつは口っぽい何かを開いたまま、その上にある目のようなもので、彼女を見つめていた。
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