デーモンスレイヤー (Page 4)
 死因不明の死体が連続して発見される……という学園の学生服は、ベージュのブレザーだ。
 黒いブレザーではない。
 だが彼女が着ている学生服は黒いブレザーに黒いスカート、灰色のブラウスに黒いネクタイというものであった。
 その学園では目立つ。
 だが誰も、廊下を歩く黒いブレザー姿の彼女を気にしない。
 まるで彼女……サキが見えていないかのようだ。
 学生服が異なるというのに誰からも気にされないサキは、1つの教室の前で足を止めた。
 そこは空き教室だ。数日前、死因不明の死体が見つかった場所でもある。
 サキはその教室のドアを開け、中に入った。
 教室の中に視線を走らせたサキは、
「やっぱり……」
と、つぶやきを漏らす。
「この学園にいるわね」
 サキは教室から、ある気配を感じていた。
 普通の人間だったら感じ取れない気配。
 それは悪魔の気配……サキが倒すべき相手の気配だ。
 悪魔の気配を確認したサキは、教室を後にした。
 そろそろ陽が沈もうとしている時間。
 その女子学生は忘れ物をしてしまい、教室に戻っていた。
 誰もいない教室は静かで、どこか不気味な気配を漂わせている。
 女子学生は、教室から早く出ようとした。
 と、その足が止まる。
 教室のドアの前に、いつの間にか1人の男子学生が立っていた。
 いつ教室に入ったのか……誰かが教室に入ってきた気配を、女子学生は感じ取っていない。
 そのため男子学生……髪を茶色に染めている少年の姿を見て、彼女は思わずビクッと肩を震わせていた。
 茶色の髪の少年は女子学生に静かに歩み寄る。
 女子学生は少年から、この教室と同じもの……不気味な気配を感じた。
 無意識のうちに、彼女は後ずさっていた。
「お前も成績上位者……悪いが死んでもらうぞ」
 そう告げる少年の肉体が変化する。
 学生服を破って肉体が大きくなり、肌が真っ黒になり……悪魔の姿となる。
 悪魔の姿を目の当たりにして、女子学生は悲鳴を上げた。
 女子学生に襲いかかる悪魔。
 手指に生える鉤爪が女子学生の体を引き裂こうとするが……。
 それよりも速く、女子学生と悪魔の間に人影が割って入ってきた。
 黒いブレザー姿の少女……サキだ。
 サキは悪魔の腹部に蹴りを叩き込む。
「ぐおっ!」
 細い脚から繰り出されたとは思えないほど強烈な蹴り。
 悪魔はうめき、後ろによろめく。
 サキは悪魔の接近し、さらにもう1発蹴りを叩き込んだ。
 悪魔と女子学生の距離が空く。
「逃げなさい」
サキに言われ、女子学生は悲鳴を上げながら逃げだした。
 悪魔は女子学生を追おうとするが、サキが邪魔をする。
 サキの右手には、いつの間にか刀身が細い長剣が握られていた。
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