鬼斬りの鬼

・作

野太く長い、凶器のような男根。ソレをそそり立てた黒鬼は、片手でイズミの頭を掴んで持ち上げた。―――この世界には鬼と呼ばれる存在がいる。鬼にとって人間はエサでしかない。鬼の前では人間は無力であった。だが、鬼から人間を守る者がいる。鬼を斬る者、それは1人の少女であった。彼女の名前はイズミ。鬼を斬る者である。

 夜は闇を生む。
 夜が生む闇の中に、ソレはいた。
 ソレの前には、人の頭部が転がっている。
 転がっている人の頭部……その顔には、恐怖の表情が浮かんで固まっていた。
 ソレは人の肉体を食らっている。ガツガツ、ガツガツと食らっている。
 人を食らっているソレも、人の形をしていた。
 巨体である。身長は2メートルはあるだろう。
 筋骨隆々という言葉が似合う体格だ。
 人のように見えるが、人と異なる点がいくつかある。
 目は血でも吸ったかのように真っ赤で、そして額から2本の何かが生えていた。
 額から生えている2本の何か……ツノだ。
 長く太く、そして鋭い銀色のツノ。
 肌の色は青い。塗料を塗ったわけではない。天然の色だ。
 ソレを見た人間は、鬼という言葉を頭に思い浮かべることであろう。
 実際にソレは鬼と呼ばれる存在であった。
 人とは異なる存在、人を襲って食らう存在……鬼と呼ばれる種族。
 青い肌の鬼は、一心不乱に人の肉を食らう。
 人の血肉は鬼にとって、最高のご馳走であった。
 もぎ取った腕の肉を食らい、したたる血をすすったとき、青鬼は何かを感じ取った。
 青鬼がいる闇の中に、1つの人影が飛び込んでくる。
 その人影は、右手に持った何かを振った。青鬼は反射的に後ろに跳ぶ。
 それまで青鬼が立っていた場所を、銀光が通過した。
 青鬼を斬っていたかもしれない銀光……それは、日本刀の刃の閃(ひらめ)きだ。

「何者だ……?」

 青鬼は日本刀で自分を斬ろうとした者に問う。
 月光が、その者を照らす。
 右手に日本刀、左手にそれを収める鞘を持つのは、ショートヘアの少女であった。
 黒いブレザーに黒いスカート、灰色のニットベストに白いブラウスという服装。

「鬼を狩る者」

 ショートヘアの少女……ブラウスの胸を大きく盛り上げている少女が鬼の言葉に応える。
 その胸の膨らみは、軽く見積もってもGカップはあった。
 豊満な胸の少女・和田イズミは、青鬼に食われた人に視線を向ける。

「お前を斬る」

 そして視線と日本刀の切っ先を青鬼に向け、静かな口調で告げた。

「俺を斬るだと?」

 青鬼の顔に、人を小馬鹿にしたような表情が浮かぶ。

「人間風情が、面白いことを言うじゃないか」

 そう言う青鬼の右手には、いつの間にか大きな金棒が握られていた。
 多数のトゲが生える金棒。
 日本刀を構えるイズミの頭など、簡単に粉砕することができるほどの太さがある。

「殺して食らってやるぞ、小娘!」

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