早帰りのサラリーマンは電気青姦の夢を見るんですか? (Page 3)
「これぐらいで如何ですか?」
女性がそう言うと、明かるさが半分ほどになった。
それに一瞬驚いたが、すぐに納得した。
女性の服と街路灯の意匠(白地に赤や青の差し色)が全く同じだからだ。
機種名CRL2344、災害対応型の街路灯兼Wi-Fiステーション。
この女性は、おそらくこれを製造したメーカーの従業員とかで。
たぶんデモして一般の人からアンケートを取ってるのに違いない。
明るさもリモコンで操作してるんだろう。その程度の機能はある。
「あ、ああ、いいよ。それより……」
商売女? だなんて、とんでもない勘違いをしてた。
だから謝罪の意味も込めて。
「もう遅いから、帰ろう」
と言って、彼女に手を差し伸べた。
しかし。
「……私の隣はお嫌ですか? 香住田 藻也(かすみだ もや)さん!」
!! ダブルでショックを受けた。
一つはもちろん、彼女が俺の本名を知っていたことに対して。
つまり、打ち合わせで名刺交換してるはずの他社の人間を。
それもこんなすこぶる付きの美人を、俺はまったく覚えていないからだ。
もう一つは、彼女はむくれた顔もまたカワイイという事実に対してだ。
「うわ……っと」
伸ばした手を掴まれ、俺は逆にベンチに座らされてしまった。
「もうっ、ずっとこうしたかったんですから……」
そう言って、彼女は俺の左胸に体を預けてきた。
体勢の都合で、自然と右手で彼女の肩を支える格好になる。
柔らかい感触と、目の前を流れるツヤツヤの黒髪。
「ここに立って、ずっと不思議だったんです」
俺はもう一度反省した。
こんなに想ってくれる人が居ながら、俺はそれに気付けていない。
そんなニブチンだから年齢(35)=彼女居ない歴なんだと。
「ここに来る人たちは、なんでこんなことをするんだろうって」
再び謝罪の意味を込めて、左手で優しく頤(おとがい)を持ち上げて。
そして下唇を甘噛みするようにキスした。
「そ、それを知るために、こうして藻也さんが来るのを待って、んっ」
唇を離すと、彼女は続きを要求するように僅かに唇を出してくる。
それで、今度は舌を彼女の口内に差し入れた。
「……それは正解でした。だって好きな人と居るのがこんなに幸せだなんて」
お互いに相手の舌を舐めつくした後、ゆっくりと離して彼女は言った。
紅潮した顔で。
それで、もうたまらなくなって訊いた。
「よかったら、名前を教えてくれるかな」
しかし、彼女の返答は意外なもので。
「私に名前はありません……ああいえ、藻也さんはご存じの筈ですから」
気にしないで、と彼女は言った。
そして、そう言いながら小さな上着を脱いだ。
潤んだ瞳で。
「ゴメンな……」
もうこれ以上は無粋なんだろう。
そもそも覚えていない俺が悪いんだから。
そう思って、彼女の言う幸せをよりいっそう与えることにした。
「う、うしろに、あります……」
ワンピースは、思った通りノースリーブだった。
そのジッパーの位置を彼女が教えてくれる。
背中にあるそれを、ゆっくりと下げた。
「あっ……」
緩くなった襟まわりを、下にずらす。
すると、ノーブラの大きな胸がプルンっと出てきた。
(ショー用の衣装には、下着の線が出るのを嫌って着けないそうだが)
乳房の大きさの割に小さな乳首。
その可愛らしさに、思わず口づけてしまう。
「ああっ……」
屈みこむ姿勢の為、少し辛い。
それで、彼女の上半身をゆっくりとベンチの上に押し倒した。
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