自粛からの“解放セックス”! / 古着屋・久志の「出会い系」冒険③
突如、世界を襲った新型ウイルスの脅威。それは、大きな爪痕を残し、なおかつ終結は未だ見えず。この感染を防ぐ手段のひとつとして有効だったのが“在宅ワーク”で、この間は亭主が家にいるので「浮気もできやしない」とぼやく奥様族も多かった様子だった。出会い系で蜜の味を憶えてしまった女体は、「ステイホーム」で遊ぶ事もできず…。その反動か、自粛中の出会い系で主婦とアポった久志も、溜まった欲求を吐き出したのだった!
自粛中の“息ヌキ”
「社長~。ワタシ、溜まっちゃいますよ~」
古参パートの麗子は40歳の成熟した体をクネクネさせながら、昼休みでくつろぐ甲斐久志に近づいてきたのだった。
そこは東京都下、神奈川との県境に近い工業団地(実質的には倉庫街に変貌していた)のはずれにある、小さな貸倉庫の事務室である。
そこで久志は日本全国からかき集めてきた古着、倒産品、バッタ品などを仕分けしてネット通販をしているのだった。
創業当初はアメカジにこだわりすぎて、業績はイマイチだったがネットのショッピングモールへ出店したり、自社HPをブログ調でストーリー性を持たせたりして徐々に売り上げをアップさせてきたのである。
それから10年、48歳になった久志は、いまではアメカジに限らず他の趣味の服を扱ったりもできるようになっていたのだ。
その代わりと言っては何だが、妻とは離婚(子供はいなかった)して私生活の方は順調とはいかなかったのだが…。
だからといって、麗子と男女の関係になったのは社長としての立場を利用したわけではないのが、久志の誇りでもあったのである。
あるシーズンでのセールで予想よりも5倍もの売り上げを記録したお祝いの帰りに、どちらともなくラブホへ誘ってセックスをシたのだ。
麗子は結婚しているとはいえ、旦那とは「3カ月に1度、あるか無いかよ! イヤになっちゃう!!」クラスのレス。で、“身元がしっかりしている久志なら”というわけで、現在は2週に1度の割り合いでお互いを貪り合っているのだった。
その肉感的なボディを持つ麗子は、ここのところの「緊急事態宣言」による自粛で「息が詰まるぅ」を連発していた。なぜかというと、家には在宅ワークで旦那が常駐していて(当然だが)「ウザったい事このうえない」と、キリキリしているのである。
それでも、外にパートにでも出ていれば気も晴れるのだろうが「ステイホーム」のご時世で、麗子の出勤は週に3日に減らされていたのだ。
久志としては別段、従来通りでも良かったのだが宅配便のトラックの都合上と麗子宅の「ご近所の目」で泣く泣く、週3勤務にしたのだ。
理由としては、前者は入出荷のトラックが今までは午前と夕方の毎日2便だったのが、自粛中は「1日おきに1便のみ」になったからだ。
久志のところのように、小規模の倉庫内を2人してピッキングや梱包しているような“密”とは縁のない場所とは違ってセンターには大勢の人が働いているので「できるだけ荷物は少なめに」という機運が高まっていたのである。
後者は、「こんなご時世に、毎日、仕事で外出するなんておかしい」と勘繰られるのを避けるためだ。麗子としては、セックスのはけ口にもなっている久志とのベッド・タイムが失われるのが恐かったし、“新しいオトコ”を見つけるメンド―さとリスクを避けたかったのである。
そのうえ久志は気を遣って、昼休みをずらして食卓を同じにする事を避けてくれていたし、作業も同時に同作業を行わないようにもしていたのだ。
そんな世間の動きに対応した仕事体制を取っていたのだが、ここのところはセックスも自粛している久志に対して業を煮やした麗子が、冒頭のように迫っていったのだ。
「社長だって、白いアレを溜め込んでるんでしょう? 『出会い系』も不調みたいだし…」
麗子はますます久志に近づいて、目の前に立って言い放った。
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